終点のあの子 (文春文庫)

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本棚登録 : 1934
レビュー : 239
著者 :
Saraさん 小説   読み終わった 

都内のとあるお嬢様高校は、中等部からの内部進学の生徒と高校から新規入学する生徒の両方がいる。中等部からの内部進学だった希代子は、高校から入ってきた写真家の娘だという朱里の自由闊達さに憧れるが…。
女子校の高校生という多感な少女たちを描いた短編集。

「乙女の密告」や「女子校育ち」のレビューでも書いた通り、私は首都圏某所の中高一貫女子校を出ており、小説などでも女子校に関する描写はつい細かいところまで気になってしまう。
この小説は、作者自身が中高一貫女子校出身ということもあり、今まで読んだ「女子校もの」(そんなジャンルが存在するかどうかは置いておいて)で一番等身大に描かれていると思った。

女子の間で、曖昧に、だけど確実に存在する序列とグルーピング。これらを飛び越えて、別のグループに所属してみたり、別のグループの子と交流することは非常に難しい。この世渡りで失敗してしまうと、元々いたグループからさえも爪はじきにされて孤立してしまう。
ことをさらに厄介にするのは、往々にしてこれらの女子校はバイト禁止の進学校なので、彼女たちは家庭と学校以外の居場所が無く、学校における自らの立ち位置が、そのまま自分のアイデンティティの非常に重要な部分となってしまう。
不安定で居心地も決して良くないのに、それにしがみつかなくてはいけない大変さといったら!たとえ学校の外、「みんな」の目が無い場所で、ふとした瞬間にそういう序列から外れる交流ができたとしても、ひとたび学校に戻ればそんな交流があったことは隠さなければならないのだ。

万人受けする世界観ではないが、一度でも似た経験をしたことある人なら深く共感しながら読める一冊だと思う。

解説でも書かれていたが、作者の選ぶ固有名詞が絶妙。
「確かにこの子だったら高輪ウィングのロクシタン(代官山じゃないところがまた上手い)で買い物しそうだわ~」とかいちいち納得してしまう。

レビュー投稿日
2014年1月20日
読了日
2014年1月17日
本棚登録日
2014年1月17日
4
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