小川未明童話集 (ハルキ文庫 お 16-1)

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本棚登録 : 127
レビュー : 11
著者 :
とやさん 童話・おとぎ話:日本   読み終わった 

 数ある小川未明童話集の中から、装丁の美しさでチョイス。素敵な版画と、少し分厚い紙質。
 小川未明は以前、釣巻和の漫画『童話迷宮』で読んだけど、これには作者独自の解釈とアレンジが盛り込まれていたし漫画だったので、小川未明の文体に触れるのは初めてでした。

 「童話」という括りにはされているし、確かに児童文学だなとは思うものの、ストーリーには、いわゆる「めでたしめでたし」というものがほぼない。むしろ、あっけなく死んでしまったり、結末をぼかしていたり、苦い後味の残るような、訓戒めいた内容でした。
 一昔前ならともかく、現代の子供たちにそのまま読ませるには雰囲気が暗すぎたり、時代背景の違いから難しすぎるのではないかと思います。もっとも有名な「赤いろうそくと人魚」にしても、幸せな結末とはほど遠い内容です。

 しかし一方で、童話の持つ「誰もに訴えかける普遍性」もある。過ごしている時代や持っている文化が違っても、誰もがこの物語を楽しむ余地があると思いました。
 童話を文面を読んで理解するだけでなく、深く読み込んでその陰にあるメッセージを発掘していくと、童話は百倍面白くなる。
 西洋の「怖い童話」とか、子供向けにデフォルメされた童話でなく、残酷な表現すら含む童話の「原典」が好きな人は、ぜひ小川未明も読んでみてください。
 ……言われずとも、そういう人は小川未明はとっくに通過しているのかな?

 「野ばら」「眠い町」「小さい針の音」「砂漠の町とサフラン酒」あたりが特に印象に残りました。

レビュー投稿日
2014年5月23日
読了日
2014年5月23日
本棚登録日
2014年5月23日
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