女の国になったカンボジア (講談社文庫 お 38-1)

著者 :
  • 講談社 (1984年10月1日発売)
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感想 : 3
5

戦争や内乱のあとの人々を撮り続けるカメラマンが、ポル・ポト政権
崩壊後の1980年にカンボジアを訪れて書き記したルポルタージュである。

忘れがちではあるが、ベトナムと同様、カンボジアもアメリカの阿呆な
介入で多くの不幸を被った国である。

フランス領からの独立を勝ち取り、シアヌーク国王(当時)のもと、
不完全ではあるものの肥沃な国土で「国」としての姿を作りつつあった。

しかし、お節介焼きのアメリカによって、首相であったロン・ノル将軍の
クーデターが起こる。

そして、腐敗したロン・ノル政権に対するポル・ポト率いるクメール・
ルージュの台頭で国内には恐怖政治の嵐が吹き荒れる。

まず弾圧されたのは宗教だ。僧侶であるというだけで殺され、次には
知識階級・富裕階級、医師、教師、看護人と続き、フランス語や英語を
解するというだけの理由で多くの人々が殺害された。

政権崩壊後、クメール・ルージュによる虐殺はでっち上げだという論議が
あった。だが、著者は強制移住させられた人、クメール・ルージュの
元幹部等に取材し、その残虐さを見事に書き上げている。

また、ジェノサイドの証拠ともいえる人骨を発掘し、写真に収めてもいる。

老人と子供を残し、多くの男性が殺害された国で、後に残されたのは女性
ばかり。その女性たちが恐怖政治を耐え抜き、再度、人生を立て直そうと
している時代の話だ。

秀逸なルポルタージュだが、現在は絶版らしい。残念…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 戦争・紛争
感想投稿日 : 2010年10月18日
読了日 : 2010年10月18日
本棚登録日 : 2010年10月18日

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