われ万死に値す ドキュメント竹下登 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2002年2月28日発売)
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感想 : 6
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昭和最後の首相にして、政界のフィクサー。でも、今では
ミュージシャン・DAIGOのおじいちゃんと言った方が通りが
いいのかも知れぬ。

飄々として、つかみどころのない人。それが竹下登に抱いていた
人物像である。そんな印象がどうして生まれたのか。

政治家になる以前の竹下の体験から来ているのではないかと
分かって、ちょっとすっきり。

竹下登といえば、リクルート事件に皇民党事件だが、一連の
リクルート事件の渦中で30年以上に渡り竹下の金庫番を務めて
来た秘書の青木伊平氏の自殺の様子は壮絶である。謀殺論が
根強く残るのもこの為か。

孫のDAIGOのプロモーションビデオを見て「どれがDAIGOが
分からない」と言ったり、政治記者に「ロックというのは髪を
青く染めなきゃ出来ないのか?」と聞いたりする「DAIGOの
おじいちゃん」としての竹下登は可愛らしい。

しかし、首相失脚後は小泉純一郎の登場までの内閣誕生の実権を
握っていたキングメーカーなのだ。そして、地元・島根県では
竹下系議員が好き放題に公共事業の利益を享受している。

「気配り、目配り、金配り」。自らそう語っていた竹下登は、
「小さな田中角栄」だったのかも知れぬ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評伝
感想投稿日 : 2010年12月5日
読了日 : 2010年12月5日
本棚登録日 : 2010年12月5日

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