餓死した英霊たち (ちくま学芸文庫)

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著者 :
sasha89さん  未設定  読み終わった 

タイトルは「餓死」と書いて「うえじに」と読ませる。そのまま
「がし」と読むよりインパクトがある。

先の大戦で亡くなった日本兵うち、大半が餓死及び栄養失調からの
戦病死である。「飢島」とも呼ばれるガダルカナル島や無謀な作戦
であったインパールなどに限ったことではない。

ほぼすべての戦場で、兵站を無視した「作戦ありき」の下で考え出され
た作戦によって引き起こされた悲劇だ。

ある部隊には2週間分の食糧を、ある部隊には1か月分の食糧を持たせて
洗浄へ送り出し、「持参した食料がなくなったら現地調達せよ」。

洗浄となった地域すべてが肥沃な土地なら耕作も可能だろう。だが、
地勢調査もせずに送り込んでいるものだから、耕作が出来るような
場所が一切ない地域もあった。

ならば、現地の人たちから徴発せよとなるのだが、徴発というよりも
掠奪になってしまっている。誰だよ、日本軍はアジアを解放する為に
戦ったなんて言うのは。食料を掠奪して恨まれているじゃないか。

「腹が減っては戦はできぬ」はずなだが、皇軍兵士は「腹が減っても
作戦続行」かよ。精神論じゃお腹はいっぱいにならないのに。

「最右翼をすすんだ第三十一師団の佐藤幸徳中将は、インパール北方の
コヒマを占領したが、軍からは約束の補給はまったくなかった。佐藤中
将は「米一粒も補給がない」ことに怒り、食糧のあるところまで後退
するとして独断で退却した。佐藤中将は抗命の容疑で罷免の上、軍法
会議にかけられた。佐藤はあえて牟田口の責任を問おうとしたもので、
結局は精神錯乱ということで片づけられた。」

もうねぇ、阿呆かと思うの。正常な判断をした佐藤中将が軍法会議に
かけられて、無謀な作戦を考え出した牟田口廉也が何も批判されず
にいるなんて。

本書では日本兵の大半が戦病死するに至った原因、精神主義や人命
軽視に至った過程を詳らかにし、時代遅れの軍隊だった日本軍の姿を
浮き彫りにしている。

毎年、終戦の日になると靖国神社を参拝する国会議員たちの映像が
ニュースで流れる。

「英霊たちの御霊に追悼の誠を捧げ…」なんて決まり文句のように口に
するセンセイがいるけどさ、その靖国神社に祀られている英霊の御霊の
ほとんどが満足に食糧の補給も受けられずに亡くなった人たちなのだ。

だったら、玉串奉奠やらじゃなくて山もりのご飯を捧げて欲しいわ。
「大変遅くなりましたが、どうか今は思う存分食べて下さい」って。

レビュー投稿日
2018年8月20日
読了日
2018年8月20日
本棚登録日
2018年8月20日
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