増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫)

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本棚登録 : 306
レビュー : 30
著者 :
sasha89さん  未設定  読み終わった 

私は本書の著者に対して偏見がある。夏目漱石の未完の小説
『明暗』の「その後」となる『続明暗』を発表したことにより、
「余計なことをしてくれるな」と思ったから。

『明暗』は未完のままでいいのだと感じていたのだもの。だから、
『続明暗』も手に取る気はさらさらないし、著者の他の小説も
読んでいない。

なので、私は本書をかなりの確率で誤読しているはずだ。でも、
読み手がどんな反応を示すかはそれこそ十人十色なのではないか
と思う。

グローバル化が進む世界で英語は世界共通の普遍語になりつつある。
英語が世界を席巻したら、日本語は地域語に成り下がる。では、
日本語が国語として生き延びる為にはどうすればいいか。

学校教育で徹底的に近代文学を読ませることだ。「読まれるべき言葉」
は近代文学にこそあるのだ。

かなり乱暴にまとめてしまった・要は12歳で父の仕事でアメリカに
渡り、日本語に接する機会が極端に少なくなった著者の慰めが父の
蔵書にあった日本の近代文学の作品だったから…とのかなり個人的な
体験がベースになっている気がする。

「近代文学、最高っ!現代文学は糞」みたいな書き方になっているの
が非常に気になっていたら、文庫化に際してのあとがきでこの部分を
相当に言い訳している。

「そんなつもりじゃなかったんです」と後から言われても、漱石ほどの
頭脳の持ち主が現代に生まれたら小説を書こうと思っただろうかなんて
書かれたら、「そんなつもりじゃん」と受け取ってしまうのよ。

「英語の世紀」との副題は分からないでもない。日本の企業でも社内
の公用語は英語にしている企業もあるくらいだからね。

ただ、グローバル化=英語のひとり勝ちではないと思う。漫画や
アニメを媒介として日本語を学ぶ外国人も増えているのだから。

高いところから「このままでは日本語は亡びる」って言われても
なぁ。だって、言葉って時代と共に変化すると思うのよ。

本書で何かと比較対象として名前が出て来る漱石だって当て字を
多用しているしね。

近代文学にしろ、現代文学にしろ、小説って結局は娯楽だと思って
いるので、本書のような作品を読んでも「何もそんなに危機を煽ら
なくてもいいのに」と感じてしまった。

レビュー投稿日
2018年10月29日
読了日
2018年10月29日
本棚登録日
2018年10月29日
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