魯迅の文章は、非常に皮肉やパラドックスを含んでいます。魯迅の思想や言葉が、深みや重み、あるいは軽くないものを備えているのは、その後ろに底深い虚無や絶望を秘めているからです。そそてその絶望や虚無に裏打ちされている希望があります。
老子の思想には、徹底して出世を無化するものがあります。出世に階段を上がってうれしいか?ということと同時に階段そのものから足元から溶かしてしまう考え方がある。
魯迅の考え方は勝てるから行くのではなく、戦わなければならないから言って戦うということであり、非常に絶望的な戦いです。しかしそれは淡々とした戦いでもあります。
魯迅は医者になろうと思って日本にやってきたけど、身体を治すよりも心を治す必要があると感じて医者から文学者になった。
人生で最も苦しいことは夢から覚めて行くべき道がないことであります。
展望とかザセルという言葉があまりにも氾濫しすぎています。一度や二度失ったくらいで何も見えなくなるような展望や希望はない方がましです。展望や希望、あるいは灯りは創り出すものです。だからこそ明かりがなくとも、見えなくとも、暗黒と格闘していくのです。
魯迅は非常にしぶとい、二枚腰、三枚腰の思想家です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・世界文学
- 感想投稿日 : 2010年4月11日
- 読了日 : 2010年4月11日
- 本棚登録日 : 2010年4月11日
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