文学の門

  • みすず書房 (2009年12月10日発売)
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感想 : 11

つらくても生きている。生きていることをそっとたしかめる楽しみ。
すべては遠い。いつもいつも人間は社会の中にいるわけではない。こうして社会から遠いところにいることもある。生きるための自分の光を、こんなことひとつで、取り戻すこともできる。
そもそも人の話を聞くことは苦痛なことなのだ。できることならば人の話は聞きたくない。
本を読む人が少なくなった。実用的な本は話題になるが、教養とつながるもの、思考力を試す書物は遠ざけられる。
経済、法律、医学だけを十社会で役立つ実学だと思っている人がとても多いが、はたしてそうか。人間の精神を育て、人間のために力を振るう文学は実学なのだ。人間の社会が不幸な方向に向かっているとしたら文学は役立たないものと決めつける考えを改めなくてはならない。文学だけでない。思想も哲学も歴史も同じ。本を四マナ人が増えるとそんな話題も切り捨てられる。読書をしないのは、他人への興味がなくなったからだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読書・書誌学
感想投稿日 : 2010年3月4日
読了日 : 2010年3月4日
本棚登録日 : 2010年3月4日

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