破壊戦 新冷戦時代の秘密工作 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA (2020年12月10日発売)
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感想 : 8

 毒殺。フィンランドへの難民送り出しの犯罪組織。ポピュリズム政党への資金支援や投資、資金洗浄など欧州への不明理な経済的侵食。「トロール工場」で作られるデマ拡散。大手メディアを使ったプロパガンダ。サイバー攻撃。当局の公式活動ではなくとも関与が濃厚とされるロシアのこれら活動を、主に2015〜19年の間の自らの取材体験も踏まえ解説する。
 「ハイブリッド戦争」と近年よく言われる活動だが、経済的侵食はこれまであまり知らなかった。プロパガンダを信じる人がそんなにいるのかと常々疑問だったが、本書ではプロパガンダを告発した記者への多くのロシア国民からの非難、また以前はリベラルな考えの持ち主だったという著者自身の友人の変貌も紹介され、悲観的な気分になる。
 特に興味深いのが、プロパガンダを流す側への取材と彼らの言い分だ。単に金目当ての若者もいるが、RTの編集長は「客観的な報道はない」と言い切り、西側メディアの対露批判に激しく反論する。本気でそう信じているのかと思わされる。
 本書で紹介される活動の中には日本が直接の対象となったものはない(スプートニクは日本語サイトがあるが)。他方、対象となっている欧米の対露警戒は相当なものだろう。著者がおわりに書くように、日本政府の対露外交との温度差は明らかだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ロシア
感想投稿日 : 2021年3月20日
読了日 : 2021年3月20日
本棚登録日 : 2021年3月20日

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