戦後史の解放II 自主独立とは何か 後編: 冷戦開始から講和条約まで (新潮選書)

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本棚登録 : 79
レビュー : 9
著者 :
satsukiさん 日本   読み終わった 

 本書の出だしの第4章では、冷戦の萌芽やX論文を含むケナンの構想が丁寧に記述されており、国際政治史の本かと思うぐらいだ。だが、それが筆者の狙いだろう。続く第5章では、共産中国の誕生、アチソン・ライン、ダレスの登場、朝鮮戦争勃発という冷戦が進む国際政治と、保守・中道左派・保守の政権交代、吉田政権下での単独講和の経緯という日本の状況が2本の糸のように絡み合っていく。
 著者は丸山眞男や雑誌「世界」に代表される「左派系知識人」に対しては、教養は認めつつも思想には批判的だ。戦前から外交に関わってきた政治家吉田茂と、国際政治を「いままで勉強していなかった」若い政治学者丸山眞男を対比させてもいる。また他の箇所では、占領下日本では、またそもそも現実の国際政治では、実際に取り得る政策の選択肢は限られてくることも書かれている。すなわち、現実という枠の中で、単独講和で西側の一員として生きることにした吉田茂の「主体的な選択」は正しかった、というのが著者の主張だろう。
 なお、米国人の理想主義と英国人の勢力均衡・地政学という両者の思考の違いが時折出てくるのも、元々英国外交が専門の著者故か。

レビュー投稿日
2018年8月19日
読了日
2018年8月19日
本棚登録日
2018年8月19日
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