昭和戦前期の政党政治: 二大政党制はなぜ挫折したのか (ちくま新書 983)

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年10月1日発売)
3.84
  • (8)
  • (13)
  • (7)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 176
感想 : 20

 筆者は、この時期の政党政治の問題点として、1)疑獄事件の頻発と無節度、それによる政党政治の評価の低下、2)買収・議事妨害・乱闘による国会の混乱、国会の威信の低下、3)政党による官僚支配、地域の政党化・分極化と中立化・統合化欲求の昂進、4)「劇場型政治」と、第三極(軍部やら新体制やら)を求めるマスメディアや世論、の4点を総括している。
 現代の視点からすると「政治主導」や世論・マスメディアは正義、と無条件で思いがちで、これらが大衆デモクラシーの弊害などと軽々しく言うのも若干の抵抗がある。それでも、政治が大衆化された故のこれらの問題点により政党政治が終わってしまう過程が描かれていた。「『政策論争』を訴える若槻の主張はまぎれもない『正論』なのだが、それだけでは政治的に敗北するのが大衆デモクラシーというものなのである」という記述、ここ数年何かと話題になっているポピュリズムにも繋がる。
 政友会が政権批判のために普通選挙法案を不成立とさせる陰謀まで図ったり、朴烈怪写真事件のような事件を政権批判に使ったり(天皇の政治利用でもある)、大分県では駐在所やら公共事業やらやくざまでも民政党・政友会系に分かれていたり、という個々の具体例には驚くばかりだ。
 一方、日本の戦後処理過程で、戦前との連続性は、軍国主義の払拭の不徹底というような否定的な意味で捉えられることが多かったように思う。しかし本書では、戦前、天皇・宮中グループと密接に結びついていた浜口・若槻・幣原が国際主義・民主主義勢力として米国側に印象付けられていたことが、天皇制存続や穏やかな占領政策に繋がった、と言及されている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2018年2月4日
読了日 : 2018年2月4日
本棚登録日 : 2018年2月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする