台湾生まれ 日本語育ち

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本棚登録 : 229
レビュー : 22
著者 :
satsukiさん 中国   読み終わった 

 母語・母国語・国語。本書では明確に定義されているわけではないが、行間から推測するに、筆者はこう考えているようである。「母語」は、翻訳せずにそのまま受け入れる言葉。流暢な第一言語であるとは限らない。「母国語」は、「母国」の言葉。「国語」は、学校で習う、公的空間の言葉。大多数の日本人にとってはこの三つは全て一致し、当然のごとく日本語だろう。しかし、三歳で日本に移り住み、日本語を第一言語としつつ、「母語」は日本語・中国語・台湾語だと述べる筆者にとってはどうだろうか。
 筆者の両親が他ならぬ台湾の本省人家庭出身であることが、筆者を取り巻く言語の様相をより複雑にしている。筆者の両親にとって「國語」は学校で学んだもの。さらに祖父母となると日本語を学校で学んでおり、両親世代を飛び越えて直接流ちょうな日本語で筆者との会話が可能となる。筆者自身のように、「外国」に移動すれば使う言語が変わってくるのは自然だが、祖父母や移住前の両親はずっと台湾住まいで、ただ指導層が変わっただけだというのに。
 筆者が学校で中国語を学ぶ苦労や、また台湾の辿った歴史について思いはあろう。ただ本書の筆致は柔らかく、思ったままを感受性豊かに描いているように思われる。

レビュー投稿日
2017年1月25日
読了日
2017年1月25日
本棚登録日
2017年1月25日
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