戦後政治が対象。印象的な点をいくつか。
西尾末広を筆頭に、社会党が英労働党を模範とし安保政策等でより現実路線を取る可能性があったことを著者は指摘。現実にはそうはならず、村山内閣での「あっけない方針転換」を著者はやや批判的に書く。
「(地方代表として地方の不便さを自虐的に伝えようとした)田中流弁論術は、芥川賞作家(石原慎太郎)には低俗なギャグでしかなかった」との一節。湘南ボーイと地方代表の違いか。もっとも石原が都市計画に取り組む都知事となった後は田中を肯定的に評価しなおしたとのこと。
細川内閣での政治改革と、国民福祉税構想失敗以降の失速。多くのエネルギーを費やし首相の権限強化や省庁再編に続く流れの出発点となったという点で、著者は「特異な短期政権」と呼ぶ。
橋本政権下での普天間返還合意と現在までの閉塞状況は丹念に描写。一方、90年代に語られた「平和の配当」論は、現在から見るとどうなのだろうと感じる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2024年7月25日
- 読了日 : 2024年7月25日
- 本棚登録日 : 2024年7月25日
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