迷走するイギリス―― EU離脱と欧州の危機

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レビュー : 5
著者 :
satsukiさん 欧州   読み終わった 

 2016年、EU離脱を問う国民投票直後の出版。戦後の英とEUの関係をなぞる本ともなっている。大英帝国、また米と欧州の架け橋といった自己イメージから、そもそも英は自らを欧州大陸部と異なるものと考えていたようだ。興味深いのは、戦後間もなくの時期は大英帝国であるが故に大陸部と一定の距離を置いていたのに、今日ではEU離脱により世界大国としての地位を失うという見方に著者は与していることだ。
 80年代以降、英の国民世論と保守党はイデオロギー的なEU懐疑思考になっていったという。そしてEU離脱派は経済的・合理的な理由よりも情緒的なEU批判や国民感情にアピールするプロパガンダを訴えることが多い、というのが著者の分析だ。
 更に興味深いのが、国民投票という最も民主的なはずの意思決定の結果が、本書では民主主義の劣化・危機とされていることだ。著者は政治家が語る嘘の国民への浸透を1つの要因として挙げる。そして著者は、英国内のみならず、米英が主導してきたリベラルな国際秩序の行方にも警鐘を鳴らしている。

レビュー投稿日
2020年4月26日
読了日
2020年4月26日
本棚登録日
2020年4月26日
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