豪国内で、議員など要人への献金、貿易やインフラ買収、ヒューミント、文化・学術交流の中での工作など、個人と組織の実名入りでこれでもかというほど実例が挙げられている。豪での中国や中国系住民の存在感がどれほどか肌感覚では分からないが、相当なものなのだろうと思わされる。
外国からの投資は中国からだけではないことは著者も認識している。しかし日米などと異なり、中国からの投資は、企業のものであっても、自国の戦略的利益に沿うよう体制に操作されているというのだ。留学生含む中国系住民が当局の意向に沿う言動をするのは、愛国心、実益、自国に残した家族を守る、など様々な理由がある模様。
豪が狙われるのは、「西洋諸国の最弱の鎖」であるという地政学的位置、大規模な中国人コミュニティ、多文化政策の故だという。
献金、貿易、投資、様々な交流、これら自体が直ちに違法ではないだろうし、グローバル志向の観点からはプラスとも捉えることも可能。また、豪国内で中国によるこれらの活動を批判すると、人種差別主義者や外国人恐怖症と言われかねないという。すなわち、リベラルで開かれた社会ほど、外部からのこれら「侵略」には脆弱なのだろう。
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カテゴリ:
中国
- 感想投稿日 : 2020年8月7日
- 読了日 : 2020年8月7日
- 本棚登録日 : 2020年8月7日
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