日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

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本棚登録 : 1405
レビュー : 160
著者 :
澤田拓也さん 歴史   読み終わった 

タイトルにもなっている『日本のいちばん長い日』とは、終戦の日、1945年8月15日正午に玉音放送が流されるまでの24時間のことである。日本史上初めての敗北の日。まさか何事もなく、玉音放送が行われたわけではなかっただろうが、今まで何も気にしていなかった。14日深夜から玉音放送を阻止すべくクーデターが発生していたというのも本当に初耳だった。少し反省した。
本書では、まさしくそのままアメリカドラマ「24」と同じことができそうなくらい、スリリングな物事の流れが1時間ごとの章に刻まれていく。クーデターの話だけでなく、文案の決定や放送の録音など、この1日にはいくつも重要な局面があり、重要な決定や行動がなされている。著者は、さまざまな文献に当たるとともに、存命中の当事者へのインタビューを重ねることにより、歴史の真実らしきものを紡ぎだす。登場する人物の心の揺れまで、流麗な文章によって綴られており、鈴木首相も阿南陸相も、そして畑中中佐も、そのキャラクターが立たされている。

現代から顧みると、違和感とともにやはりそうだったのかとの感想を持たざるをえないのは、国体や天皇への異常なまでのこだわりと、そのこだわりが疑問なく全くの当然のことと扱われていたことである。全ての異なる立場の人がそこだけは全くぶれない。著者もそのことに疑問を呈することもない。だからこそ天皇制を維持することで、戦後無用な混乱が避けれられたのだとも言える。
天皇陛下への忠誠は、悉く真摯であり、美しくもある。筆者もそのようなものとして書いている。一方、その絶対的な帰依は、ある種の国民的な狂信とも言えなくもない。一定のラインを超えると、それは善悪を超えたものとして起こりうるのかもしれない。


古い話を書いたやや古い本なのだが、それを全く感じさせない。良質のドラマのような緊張感がある。不謹慎であることを承知で言うと、とにかく面白い。おすすめ。

レビュー投稿日
2015年3月8日
読了日
2015年3月7日
本棚登録日
2015年3月7日
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