サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

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本棚登録 : 3601
レビュー : 312
制作 : 柴田裕之 
澤田拓也さん 歴史   読み終わった 

『サピエンス全史』と柄谷行人
(柄谷行人を読んだことがない人にはわからない話ですみません。上下通したレビューは上巻の方に書きました)

この本を読んで改めて柄谷行人という哲学者の射程がどこにあるのかがわかったような気がする。人類の歴史を描いた『サピエンス全史』と柄谷行人の『世界史の構造』が扱うテーマがかなり重複しているのだ。

『世界史の構造』では、特徴的な四つの交換方式の重点の推移によって世界史の変遷を説明しようとしたという印象が強く、それはひとつの分析として素晴らしいのだが、やや無理筋であると感じるところも多かった。しかしながら、それまでの柄谷行人の関心を持ったテーマを『サピエンス全史』とともに振り返ると、彼が「人類の歴史」- つまりわれわれがなぜ今このような形としてここにあるのか、ということをずっと問いとして持っていて、答えとなるべきものをずっと提示しようとしてきたのだということがわかるような気がする。そのことを、「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸せ」というタイトルの本とのテーマの合致を見て初めて気づくことになった。そして、その合致は偶然ではなく、彼の関心領域から導き出される必然でもあると感じた。

『マルクスその可能性の中心』などにおける「貨幣」への注目。『NAM21』の活動では地域通貨の実践にまで踏み込もうとした。『探究I』におけるコミュニケーションへの注目。『探究II』における「世界宗教」への注目。『帝国の構造』などの近年の「帝国」への注目。『世界史の構造』では「農業革命」にも注目している。カントの永遠平和の考え方も、『サピエンス全史』に出てきた資本主義のグローバル化における世界平和に関する考え方も実は似ていたりもする。

もう少しじっくりと柄谷行人の仕事について、『サピエンス全史』に沿った形で整理するようなことをしてみたい。それほど、読んでいて柄谷行人のことを思い出すことが多かった。それが、きっと柄谷行人という思想家をより深く理解することにつながる予感がする。

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『サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福』
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/430922671X

レビュー投稿日
2016年12月31日
読了日
2016年9月26日
本棚登録日
2016年9月23日
2
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