生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書)

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レビュー : 82
著者 :
くすのきさん  未設定  読み終わった 

面白くって2日で読んだわー!
著者の父親の聞き書きを基にした、20世紀前半に生まれた名もない日本人男性のライフヒストリー。
北海道への移住、上京、就学と就職、徴兵。シベリア抑留。帰国後の困難な再就職と結核治療。景気の上昇。結婚と仕事の成功。マイホーム。
昭和初期、小学校を出たら日銭稼ぎでも働くのが当たり前だった。話者は早稲田実業中学に通ったが国公立の滑り止め的存在。月謝を払って高等教育を受けられる人は限られていた。
庶民レベルでは戦争賛美はみんな案外冷ややかだった。学校の先生や一部のインテリは批判的だった
シベリアでは零下35度になると、屋外作業が中止になったが冬でもダムの凍結除去など外で働かされた
抗生物質が使えるまでは、結核治療のために肺や肋骨を切除する外科手術が行われていた
1957年までガス、水道なしの下宿暮らしだった

話者は最晩年になって、日本兵として徴兵され、シベリアに連行された朝鮮人の抑留仲間が起こした賠償裁判に協力する。たとえ勝てない裁判と分かっていても、公の場で一言言わせろ。人としての気概を感じた。

著者は日本の近現代社会史の専門家だけれども、戦争や生活の記録として残された書物が、特定の学識層の経験に偏っていたり、個人の感性でバイアスがかかっていることをたびたび感じ、普通の庶民がどう生きたかを残したいと思ったそう。

この本のように、私の家族のライフヒストリーも残したいな、と思った。

レビュー投稿日
2019年1月12日
読了日
2019年1月12日
本棚登録日
2019年1月12日
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