白と黒 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (1974年5月21日発売)
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本棚登録 : 753
感想 : 51
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新しくできたマンモス団地に横行する怪文書、そのうちに殺人事件が起きてしまう。最初の被害者は顔がわからないように火傷していた。それはなぜ?被害者は誰なのか。
時代的には、団地という住まい方が新しかった時。本書では、他人と接したくない人にはこの密集した住まい方は辛いともいうし、扉をしめてしまえば自分たちだけの世界であるとも相反することを登場人物たちが言っているが、人の秘密をあばく中傷や噂がどんどん広がっていったこと、その一方、真実は誰にもわからないということがこの物語から感じ取れる。今にも通ずることかもしれない。
前回のもだけど、意外な、殺人容疑者から無意識にはずしてしまうような人が犯人だった。あと犯人ということをわかって改めて本人の言動を考えると…滅茶苦茶性格わりー!って思った。

それと、文庫の最後の方にはいつも、今日の人権擁護の観点から照らして不適切な表現が…とあるが、この時代は同性愛者は頭おかしい人扱いなのね。忌まわしい、とか、悪い癖が、という表現。これがそこまで遠くない昭和の話なんだけど、随分時代は変わったなぁと思った。

あと金田一が歳をとったせいか、女性に対してや性的なものに対して赤面したりオロオロとまどう描写がなくなったのところが、シリーズの時間経過を感じさせるな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2020年8月9日
読了日 : 2020年8月8日
本棚登録日 : 2020年8月9日

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