その多寡こそあれ、自然改変は人が暮らすのに避けられない。だが田んぼや雑木林、防風林といった人為的な改変は好ましく思われるのに対して、なぜダムはここまで警戒されるのか。それは、科学的な川らしさを奪うことと、心理的な、川は流れる、ということへの抵抗ではないか。富栄養化や自然撹乱の少なさ、温度差、濁りなど、ダムが川に与える影響はもちろん小さくない。自然から見ればそうなのだけど、ダムが人間の生活に果たしてきた役割は、それはそれで実に大きい。しかしそれはすなわち自然撹乱を少なくした、ということによるものが大きくて、人は自然による撹乱からできるだけ遠ざかることで幸せを感じるのか…しかしダムを取り扱うときには、感傷ではなく社会をどう変えるか、という視点がなくてはならない、と。タイトルの「ダム湖の中で起こること」は、この本の一部でしか無く、ダムとはなんぞやということを考えるときの、現在わかっていることのまとめ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
5 技術
- 感想投稿日 : 2013年7月17日
- 読了日 : 2013年7月17日
- 本棚登録日 : 2013年7月8日
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