宮本常一はかなりの読書家だったという。その宮本常一が各所に書いた、昭和十年代から五十年代までの書評集。
どうしても対象の殆どが民俗研究の本になってしまうが、中には子どものための文庫・全集としておすすめのシリーズを紹介する場面も。この内容もやわらかでとてもよいが、この文は離島振興のための機関紙「しま」に寄せられたもの。先日娘と離島の話になって、離島の本屋は大変なんだぜ、という話をした。いまでは通販で買える(故にさらに離島の本屋は大変なのだが)けれど、当時はさぞかし情報に飢えていたことだろう。その「しま」の解説を含んだあとがき以外は、解説など一切なしの書評の連続。
そういう文献があったということ、かの時代を、一人の書評を通じて想像する。永いこと愉しめる本。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月13日
- 読了日 : 2014年5月13日
- 本棚登録日 : 2014年4月28日
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