LSD―兄ケビンのこと 新装版 (世界の青春ノベルズ)

  • 岩波書店 (1991年9月26日発売)
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感想 : 3

きょう読み始めてきょう読了。タイトル通りにドラッグの話。
ここ数日でほかにも2冊ドラッグ系の作品を読んだのだけど、それらよりは描写がきつくなかったので、それほど酔わずにすんだ。ドラッグと社会構造との関係を描くより、ドラッグによって明らかになってゆくある家族内のきしみを描くことが主。訳者あとがきにもある「はぐらかされた」感を私も感じたのだけど、それを風俗小説への期待が裏切られた、とするのはちょっと違う気がする。社会構造との関係を描く場合、ドラッグと性の結びつきが前面に出て、ドラッグの話ときいてそういうものを無意識に予想した、という意味ではそうなのだけど。タイトルに原題のTUNED OUTが生かされていたら、もう少し違う心持で読んだかも。
訳の微妙なかたさが、読んでいてちょっと気になった。一人称が「僕」で、それほど大人びたかたちに描かれていないのに、両親を「おやじ」「おふくろ」と呼んでいたり、「…なのだが」という妙にかたい表現を頻繁に使っていたり。出版年を考えれば、そういうものなのかしら。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 外国の本(翻訳)
感想投稿日 : 2012年11月28日
読了日 : 2012年11月27日
本棚登録日 : 2012年11月2日

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