インドカレー伝

  • 河出書房新社 (2006年12月16日発売)
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本棚登録 : 84
感想 : 12
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インドに起きた様々な歴史的影響により、インドの食文化がどのように変遷してきたかを物語る書。

著者がイギリス人のため、内容はイギリス人を始めとするヨーロッパ支配によってもたらされた変革がメインで、北インドのムガル帝国の侵略、その前に存在したイスラーム王朝 奴隷王朝に関する記述は控えめです。
また、ムグライ料理のローガンジョシュに関する記述はありましたが、ケーララ州のビーフペッパーフライに関する記述はないなど、記載内容にむらがあります。
よってタイトルには偽りがあり、インドカレーのすべてを伝える内容ではないと感じました。

ただし、東インド会社設立以降の内容は細かく、カツレツやコルマに代表される、アングロ・インディアン達によるインド料理とイギリス料理の融合や、インドにチリや紅茶が持ち込まれた経緯、インドの列車販売の紅茶・コーヒーの戦い、なぜチャイを飲み終えたあとのカップをインド人は叩き割るのかに関する説明などもあり、大変興味深く読めました。
これらは、知っている人には常識だと思うので、ちょっとかじりだした私にはうってつけの書でした。

全10章からなり、各章は、イギリス人のある種の横柄さから生まれたチキンティッカマサラ、ポルトガルのゴア地方支配により誕生したヴィンダルーや、カレー、カツレツをテーマとした内容となっています。
レシピも豊富に記載されており、読みながら作ってみたいとなったとき、そのレシピを参考に作ることも可能です。
材料や調理器具を揃えるのに一苦労すると思いますが。

最終章に日本に関しても、"カレーが国民的に重要な位置を占める国"として出てきます。
我々日本人は、カレーをイギリス以上に独自の進化をさせてしまい、カースト制度、気候、外部からの食材の輸入により変わってきたという歴史を知ることもなく、その本来の芳香を意識せずに、何も考えず"カレー"として認識してしまっています。
本書中には、日本に関して好意的に書いていますが、本書の内容はカレー好きと他称される日本人としては、少しは基礎知識レベルで知っているべき内容なのかもしれないと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸書(一般文芸)
感想投稿日 : 2016年10月10日
読了日 : 2016年10月10日
本棚登録日 : 2016年5月14日

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