「はみ出し者」たちへの鎮魂歌 近代日本悼詞選 (平凡社新書 736)

  • 平凡社 (2014年5月16日発売)
本で見る
3.50
  • (0)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 17
感想 : 1
3

期待しすぎた。著名人それぞれの追悼の詞のあと、著者の解説のところどころに体制批判、天皇批判が入ってくるのが鑑賞にいささか邪魔をする。タイトルの「はみ出し者」とは無政府主義者の事だったか。
著者の思想が多分に偏っているのは良いとしても、そこに読者である私がいまいち乗り切れずに途中で置いてきぼりになってしまった感がある。自分の不勉強のせいももちろんあるが、私はいわゆる「ノンポリ(昭和語)」なので少しうんざりしてしまったのだ。自身の体験を語る戦中派ではなく、戦後派の語る戦中談はどんなに熱くても響かない事がある。
この本でもやはり、先人達の時代がいかに文学的に恵まれていたか、を感じてしまう。この昭和中期までの空気というのはもう、断絶してしまっているのではないか?と思っていたら本書の最後に吉本隆明の死にふれて
「戦後思想の偉大な時代が確かに終わりました」
とある。詩も、文学も、知性も「終わってしまった」とされる現代。そうではない、変わっただけだと言いたくはあるのだが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人文・思想
感想投稿日 : 2014年8月3日
読了日 : 2014年8月3日
本棚登録日 : 2014年7月9日

みんなの感想をみる

ツイートする