勝海舟 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)

著者 :
  • 中央公論新社 (1968年4月1日発売)
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感想 : 6

勝海舟。
ほとんど唯一、最後の幕臣にして、江戸無血開城の立役者。

この時期の人物なのに、キッタハッタの話が一つも出てこないところも興味深い。

………

スルト、皆は、海軍所の所に集って、火を焚いて居た、
慶喜公は、洋服で、刀を肩からコウかけて居られた。
己はお辞儀もしない。頭から皆に左様言うた、
アナタ方、何んと云う事だ。此れだから私が言わない事じゃあない、
もう斯うなってからどうなさる積もりだ、とひどく言った、
上様の前だからと、人が注意したが、聞かぬ風をして十分言った。
刀をコウ、ワキにかかえてたいそう罵った、
己を切ってでも仕舞うかと思ったら、誰も誰も、青菜のようで、少しも勇気はない、
かく迄で弱って居るかと、己は涙のこぼれるほど嘆息したよ。

………

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: オルト時代
感想投稿日 : 2010年1月2日
読了日 : 2007年1月1日
本棚登録日 : 2007年1月1日

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