勝利はすべて、ミッションから始まる。

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  • WAVE出版 (2012年11月17日発売)
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チェック項目21箇所。僕に与えられたのは「4年」、ミッションから大戦略を、大戦略から中戦略、小戦略、さらに戦術へとブレイクダウンして、「いまからやるべきこと」を明確にしていった。勝つためには「仕組み」が必要なのだ、その「仕組み」をマネジメントするのが、監督なのだ。「敗北」こそ「勝利」の始まり――。北京オリンピック終了後、はじめて東京にある味の素ナショナルトレーニングセンターの卓球場に集まったとき、福原はこう言った、「ここに、銅メダルを決めて喜ぶ韓国選手の写真を引き伸ばして飾っていただけませんか?」悔しさを闘志に変えようというのだ。重要なのは「敗北」に学び、「考える」ことである、そして、勇気をもって「対策」を絞り込む、「あれもこれも」ではチームを率いることはできないのだ。勝つためには強くなればいい――、そう単純に考える人がいるが、これは戦略でも何でもない、戦い方は状況によって異なる、そして、スポーツにおいて状況を大きく左右するものに、「ルール」がある。卓球のルールもしょっちゅう変わっている、戦略をガラリと変えるようなものから、サービスの出し方やラケット・ラバーに関するマイナーチェンジまでさまざまだ、そのため、4年前には有効だった戦略が、現在では通用しないこともある。観客のためのルール変更は、いくら自分が不利になっても受け入れるべきだと僕は思う、むしろ、新しいルールのなかで、「いかに勝つか」を考えるのがリーダーの仕事なのだ。卓球人にとって重要なのは、あくまで「卓球の発展のため」というミッションであって、自分のチームの目先の勝利ではない、そして、「ルール変更」を主導できるのは、常に大義のある者なのだ。ルール変更に敏感であることだ、勝負は先手必勝、ルール変更にも敵に先駆けて手を打つことが重要だ、そして、新しいルールにおける戦いのシミュレーションをする能力を磨くことである。強くなるには、ライバルをつくれ――、これはスポーツの世界では常識だろう、相手が必死に練習していれば、自分も必死に練習する、相手が新しい戦術を編み出せば、自分も新たな戦術で対抗しなければならない。卓球は個人戦のイメージが強い協議である、それだけに、チームづくりが難しい競技であるともいえる、というのはそれぞれの選手は個人戦では強烈なライバル関係にあるからだ、帆9売っておけばチームは常に崩壊に向かう可能性をはらんでいる。僕は、パソコンの文字入力が得意ではない、映像編集もできない、英語は話せないし、中国語、韓国語もできない、できないことだらけの人間である、しかし、そばにそれぞれの専門家がいれば、自分ができなくても何の問題もないと思っている。参謀は「部下」とは違う、僕と参謀との関係は対等である、専門分野に関して、リーダーシップをもっているのは参謀を務めるその人だ。金銭でつながる人間関係は脆い、重要なのは、やはり金銭以外の動機でつながる関係性の有無である、だから、一緒に飲み食いして、いろんな話をする、「夢」を共有する。試合を控えた時期には、データは「勝つためのヒント」として活用する、「答え」ではなく、「ヒント」である。人を育てるには時間がかかる、だからこそ、その時間を見据えながら先手を打っていくことが、リーダーの重要な仕事なのだ。指導すべきことは「リーダーの頭」のなかにあるわけではない、リーダーの考えを押し付けても、選手は困惑するだけだ、まず何よりも、相手を「知る」ことが大切だ、それが、指導の原点にあるのだ。「耳」と「目」の両方から入ってくる情報をもとに、選手の全体像をつかむことが、選手を「知る」ということなのだ、この基本を忘れ、自分の考えを押し付けてしまったとき、リーダーは選手を潰してしまうことすらある。し合い直後に話したところで、選手は聞く耳をもっていない、こっちも冷静さを欠いているかもしれない、落ち着いて、心を開いて話せるときまで待たなければ、伝わるものも伝わらないのだ。命令に従うことを繰り返すうち、やがてその選手は思考停止に陥る、自身の感覚で状況を察知したり、判断したりする能力が損なわれていくのだ、そして、監督の指示がないと動けない受動的な人間になってしまう。任せた人間が責任をまっとうできるようにフォローするところまで含めて「任せる」なのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: スポーツ
感想投稿日 : 2013年4月11日
読了日 : 2013年4月11日
本棚登録日 : 2013年4月11日

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