○感想
時計の話がばり好みです。世界の終わりまでの時を刻む時計(実ははりぼて)と、一人一人の命の終わりまでの時を刻む銀時計がある世界。設定もいいし、少女のみずみずしさも美しい。いっそうらやましいくらいに。
銀時計が見えたら、計画はある意味立てやすいのかもしれない。ただ、それが他の人と比較して極端に短ければ…どうだろうなぁ。さいごに、取り乱す前に眠ってしまうことを選ぶ心もありうるかもしれない。同じ設定でもっと読みたいです。あの世界が知りたい。
鬼の話は、悲恋とくくるにはさびしすぎるな。ただふつうに話すだけのことが、ひどく難しいというだけのこと。
サンドグラスの檻は、単なる元王の成長話かと思ったら、憎んで憎んで憎んだあげくに憎めなくなった魔女の話で。やっぱりどこかさびしかった。元王さまが老夫婦のもとでしごかれて、農作業やって失敗して、なんとか続けてみるけどあんまりたくさんの仕事はできなくて、俺はなんて無能なんだと落ち込んだところで、ちゃんと考えているからだよと言われて誇らしくなるあたりとかスゴいな、と。
歓びが確かに描かれているからこそ、さびしさが際立つ短編集なのだと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
少女漫画
- 感想投稿日 : 2010年9月30日
- 読了日 : 2010年9月20日
- 本棚登録日 : 2010年9月30日
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