
皇国史観の元となったイメージが強い平田篤胤の思想を、その生涯を著作とともに読みやすく解説。儒教など外来事物の蔑視や日本神話の都合のいい切り張り、幽冥界の存在・気吹舎の由来となった笛や天狗小僧との交流にまつわるオカルト的な部分など面が目立つものの、古代の神話を捉えなおしたその真意は民草のために様々なものに宿る神々がバランスを保って世界を成り立たせており、天皇も究極的にはその役目のために存在意義があるというまっとうな思想に思える。それだからこそ向学心・信仰心のある当時の人々がこぞってその門下になったのだと分かる。そしてそのラジカルな部分が体制(幕府)への反抗も生み出し、のちには皇国史観にも利用されることになるのだろう。
- レビュー投稿日
- 2019年1月4日
- 読了日
- 2017年3月15日
- 本棚登録日
- 2019年1月4日
『新書819平田篤胤 (平凡社新書)』のレビューへのコメント
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