慟哭の海峡 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2017年11月25日発売)
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感想 : 7
5

「アンパンマン」の歌は大人になってその意味を考えると、とても胸に迫るものがあります。
それは作者やなせたかしさんの戦争体験に由来するものと知り、歌詞に込められた本当の意味に近づけたような気がします。

夏、終戦記念日が近づくと何か戦争関連の本を読もうと決めていて、今年はこちらを手に取りました。

戦争を経験した2人の人生を追う形で進んでいく本書は、歴史に埋もれていった当時の若者たちの存在をリアルに感じさせてくれます。
そして、それはその後ろにある無数の犠牲のほんのひとかけらであることも

失われた若者たちは、戦争がなければきっと日本の発展に大きく寄与してくれる優秀な人たちがほとんどだったろうと思います。
歴史にたらればはあり得ませんが、若者を戦地にしかも最前線に送ることを、もっと慎重に判断できる人間が指揮官の中にいたら、と考えてしまいます。

やなせ氏の話に戻ると、きっとアンパンマンを描く間は、やなせ氏は弟の千尋とずっと一緒だったのだろうと思います。
アンパンマンが子どもたちに人気なのは、きっと誰1人として置いていかないアンパンマンの優しさに気づいているからではないでしょうか。
今も子どもたち大好きですよね。アンパンマン。

戦後70年以上経ち、どんどん当時を語ることができる人は減っています。
本書のようなノンフィクションが、もっと世間の人々の目に留まってほしいなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年8月19日
読了日 : 2024年8月19日
本棚登録日 : 2024年8月19日

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