こころ (新潮文庫)

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本棚登録 : 16796
レビュー : 1920
著者 :
shichibuzakiさん 小説   読み終わった 

夏目漱石の『こころ』を学生時代の課題図書ぶりに再読。姜尚中の『続・悩む力』内での絶賛ぶりに後押しされた形で。

昔小学生だか中学生だかのときに読んだときは、どうしてこんな小難しい話が面白いんだろうかと、頭を抱えたが、そのときとは全く違った感覚で読むことができた。

夏目漱石がこの本を書いたのは、1914年。つまり今から約100年前。もちろん、言葉遣いの違いから、時代の違いを感じはするけれども現代人の心の葛藤は100年前と変わらない。つまり人は、100年間同じような悩みを抱えながら、いま尚、そして今後100年ののちも生きるのだと思う。

人への疑心、家族との不仲、金銭への過剰な執着、どうもしがたい孤独、誰にも相談できない苦悩。。。

先生が自分の心の闇を誰にも打ち明けられずに生きながらえながら、最期には、私、という家族でも友達でももちろん恋人でもない存在に、その思いのすべてを打ち明けたこと自体が、逆に先生がほんものの孤独であったことを、物語っている。

いま、メールやLINEやSNSやほんとうにたくさんのコミュニケーションツールがあり、日々多くの言葉が高速で交換されているけれど、その交換のなかにどれだけほんとうに心の通いあったコミュニケーションがあるだろうか。

コミュニケーションをとればとるほど、孤独に苛まれていくという悪循環。先生の孤独はほんとうに悲しい。

それにしても漱石先生の人間のこころというものへの繊細な感受性、巧みで表情豊かな表現力は圧巻です。人間という存在に対して、人間のこころというものに対して、悩みに悩んだことの証だと思うのです。

レビュー投稿日
2013年12月5日
読了日
2013年10月20日
本棚登録日
2013年9月12日
7
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