フランドルの冬 (新潮文庫)

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本棚登録 : 74
レビュー : 6
著者 :
shichuanさん 文学   読み終わった 

フランスではないが、もう7年ほど海外で暮らしている。
異邦人の感覚というのは、よくわかる。
疎外感だとか、距離感などではない、
根本的に理解できない、未知である感覚。

囚人であること、狂人であること、
存在の不自由さを推し進めていけば、
おそらく個に帰結し、
囚人ですらなくなり、狂うことが狂うことですらない。
物語の舞台が、フランスの地方ではなく
諸行無常の仏教世界の土壌であったなら、
もしかしたら、クルトンは自殺する必要はなかったのではないかと
思う。

自分は、この小説を、古いとも思わなかった(個人的には普遍性を示す面白味を感じた)が、ここでの狂気を狂気と認識する時代は過ぎてしまったように思う。括弧で普遍性といって、その後に時代が過ぎたと続けるのは矛盾しているようだが、そうではなく、物語として成立する狂気としての旬が過ぎたという意味。
現代は狂気があまりにも時代の中に溶け込み、希釈されてしまってるのかもしれない。

レビュー投稿日
2014年1月7日
読了日
2014年1月6日
本棚登録日
2014年1月6日
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