君の想い出をください、と天使は言った (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年8月23日発売)
3.85
  • (15)
  • (26)
  • (16)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 291
感想 : 26
3

ヒロインの夕夏が復職後、直近2年間の記憶を失っているために職場で味わう辛さが身につまされる。自分の頭では仕事を教わっている新人のつもりなのに、実際の職場ではすでに後輩の指導役というのはきついだろう。何より、おそらく必死で勉強して得た資格も、学んだ内容をすっかり忘れているのだから覚え直さなければならないわけで。2年分の経験がチャラというのはなかなか恐ろしいことだ。
そして2年間に得た人間関係もチャラ。その間に大切な人と出会っていたなら、相手の絶望感はどれほどだろう。それをふまえた本作はいろいろと考えさせてくれた。
記憶喪失ものは、ためにする感が強くて嫌いなのだが、これはこれ自体がテーマになっていて納得。

そもそもファンタジー設定だと思っていた導入部分だけを読んだときは、「悪魔との取引」について自分だったら、と考えたりもして。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛
感想投稿日 : 2023年4月20日
読了日 : 2023年4月20日
本棚登録日 : 2023年4月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする