【収録作品】
噓か真言か
喰うか騙るか
一か罰か
夢か現実か
幸か不幸か

窃盗、特殊詐欺、司法取引、無戸籍、AI使用の是非、著作権侵害、不法滞在、と現代の社会問題を取りあげている。裁判所というところは、裁判官を一人遊ばせておく余裕があるのか(上司たちも定時で帰っているというし、そんな暇な裁判所があるのか?)という語り手の存在意義に目をつぶれば、ありそうな話で興味深い。

2025年3月15日

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読書状況 読み終わった [2025年3月15日]
カテゴリ ミステリ

新人作家の藤阪燈真は、コンビ作家・翠川双輔のプロット担当・菊谷が死去したため、未完で終わりそうな連載中の作品『殺導線の少女』の解決編について考える。

前作の仕掛けのあとで、続編!? となったけれど、こういう形なのか。
丁寧に伏線が張られ、ヒントがちりばめられているので、トリック(?)はわかりやすい。素直で温かいミステリ。

ただ、作中作が、それほどか? という内容で、描写や言葉遣いの汚さに辟易するものなのが残念。
とはいえ、労作だと思う。

2025年3月14日

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読書状況 読み終わった [2025年3月14日]
カテゴリ ミステリ

【収録作品】
「夜の小紋」 乙川 優三郎…型彫師になり、小紋の意匠を考えて生きたかった魚油問屋の主人。
「三猿の人」 野口 卓…鏡磨ぎの老人。
「秋草千鳥模様」 あさの あつこ…剣が得意な縫箔屋の娘と武士を捨てて縫箔職人になりたい青年。
「自鳴琴からくり人形」 佐江 衆一…手鎖になったからくり人形師。
「張形供養」 南原 幹雄…鼈甲細工師が手を出した禁断の細工。水野時代。
「鞘師」 五味 康祐…刀を抜けない鞘を作りたい鞘師。
「かけあわせ」 梶 よう子…錦絵の摺師。

職人の矜持や生き様を描いたアンソロジー。
「秋草千鳥模様」と「かけあわせ」がいい。

2025年3月14日

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【収録作品】
episode19-2 犬の話をしよう
episode19-3 セピアの仮説
episode19-4 行く春はおまえのもの
episode20 会えぬなら走ってみるか時鳥
episode20-2 不如帰去(カエリユクニシカズ)
おまけのたむたむたいむ

いよいよクライマックスに向かって行く感じ。
寂しくて、不穏。

2025年3月10日

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読書状況 読み終わった [2025年3月10日]
カテゴリ ミステリ
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どんどん歩きながら、どんどん忘れていくおじさん。忘れても機嫌良く進むおじさんの姿がユーモラスで楽しい。最後も丸く収まって、安心感がある。

2025年3月6日

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読書状況 読み終わった [2025年3月6日]
カテゴリ 絵本

【収録作品】妻の好物/妻の笑顔 1/妻の笑顔 2/妻の持ち分/妻の決断 1/妻の決断 2/妻のいない旅 1/妻の心配/妻の眠る場所/妻といっしょに/妻の遺言状/妻の異変/妻の出発/妻のいない旅 2/妻の帰宅 

三人息子の自由さに安心してしまう。それでも生きていられるのだと。

2025年3月12日

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読書状況 読み終わった [2025年3月12日]
カテゴリ 生き方

【収録作品】
「本格・オブ・ザ・リビングデッド」
「三人の戸惑う犯人候補者たち」
「それを情死と呼ぶべきか」
「死体で遊ぶな大人たち」

変な死体×本格ミステリ全4編を収録。
「本格・オブ・ザ・リビングデッド」 既視感のある設定は作者の断りつき。ゾンビが出てくるが、ミステリである。
「三人の戸惑う犯人候補たち」 微妙に異なった三人の体験。〈違法行為等諸問題に関する相談所〉というふざけた役所に持ち込まれた三つの相談の真相は。
「それを情死と呼ぶべきか」 過去に密室状態の小屋で起きた心中事件の再検討。死亡推定時刻によると、先に絞殺された男が生き返って女を殺したように見えるのだが。
「死体で遊ぶな大人たち」 男の死体から腕が切り落とされ、代わりに女の腕が残されていた。女の身元が判明せず、事件は暗礁に乗り上げていたが。

最後の種明かしに苦笑。

2025年3月10日

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読書状況 読み終わった [2025年3月10日]
カテゴリ ミステリ

ミステリというよりブラックな朝ドラのよう。
かな子のたくましさと賢さに感嘆しつつ、ふと気を抜いた折の無防備な姿にほっとしたりもする。
時代背景もあり、ラストはろくなことにならないだろうとは思ったが、想像よりはましだった。とはいえ、人間の業など大自然の前にはなにほどでもない。
がんばれ、かな子というまでもなく、頑張るんだろうな。

2025年3月9日

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読書状況 読み終わった [2025年3月9日]
カテゴリ ミステリ

【目次】塔のある街/宝石泥棒と遮光眼鏡/カモフラージュ/つくりごと/ひと目惚れ/スナイパー/ペーパーナイフ/気まぐれな絶望/秘密の場所/ポケットの中のE/物語の終わり

連続殺人事件らしきものがあり、探偵も「犯人」もいるから、ミステリ、なのだろうか。
絶望と希望の物語とも、孤独な男が己の半身を見つける物語(それが希望)とも読める。

章ごとに、言葉の定義から始める語り口に馴染めず、物語の世界に入り込むのに難儀した。けっしてつまらないわけではないのだけれども。そして、最後まで読めたのだけれども。

2025年3月9日

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【収録作品】
第1話 さまよう星
第2話 礁湖を泳ぐ
第3話 向日葵の糖度
第4話 チェリーレッドスポット
第5話 11ミリのふたつ星

視能訓練士・野宮恭一が4歳の斜視の少女・灯の訓練をすることで成長していく様子を描いた連作。
静かな語り口ながら、野宮の熱い思いが綴られている。
第1話 野宮が偶然灯の斜視に気づくが、シングルマザーの夕美はなかなか受け入れられない。
第2話 先天性の先天性の眼疾患を患い、失明しつつある小学一年生の少年・春海渉と野宮の出会い。野宮は北野院長と共に彼の学校での様子を見学する。
第3話 急に目が見えなくなったという若い女性・雲母瞭が受診。北野院長に病状の説明を受けるが受け入れられずにいる彼女を、看護師・剛田が説得する。
第4話 北見院長の発案による社員旅行。天体写真を撮りにいく看護師の丘本に付き合わせた野宮は、同じ場所に来ていた出野一郎に出会い、突然倒れた彼を助ける。
第5話 帰省した野宮は従弟の高校生・大輔の目の異常に気づく。

北野院長が理想的な上司で、先輩たちもプロ意識が高く、人柄がいい人たちなので、いい職場だと思う。野宮が成長できるのも、こういう人たちに囲まれているから。人はひとりで生きているわけではないという話。

2025年3月8日

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【収録作品】
第1話 夜の沼の深い色 Baltic Memories
第2話 ラクダと小鳥と犬とネズミと Joy Sepia
第3話 また虹がかかる日に Sea of Illusion

第1話 ホテルの跡取り息子・旬平の話。
第2話 娘家族と最後の思い出作りに来た老婦人の話。
第3話 卒業旅行に来た女子大生3人の話。

手紙室の室長・苅部文彦は、ふらりと現れて「居候」のようにホテルに居着いた風変わりな男。人当たりが良く有能な苅部だが、旬平はどことなく胡散臭さを感じている。タイトルになっている割に苅部は中心にいない。各話の語り手たちにワークショップの間そっと寄り添うだけなのだが、彼らはそれぞれに書くことを通して自分と向き合っていく。

手書きが面倒になっている昨今だが、なんとなくペンとインクで何かを書きたくなった。

2025年3月7日

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読書状況 読み終わった [2025年3月7日]
カテゴリ 生き方

【収録作品】
プロローグ 不思議な動物園の小さな謎解き
第一話 父さんの秘密
第二話 赤い野球帽の謎
第三話 教室の暗号
第四話 コースケvs.怪盗スカル

王道の児童向けミステリ。
なのだけれど、怪盗スカルの正体が…… 現代的、なの?

2025年3月6日

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読書状況 読み終わった [2025年3月6日]
カテゴリ 児童書

学校に間に合わない、と急ぐ男の子の話。
なかなかにシュールな展開。

2025年3月2日

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封建制度下の小国で起きた殺人事件。
三つ子が容疑者で真犯人はひとり。三つ子だから見分けがつかない… 決め手は? 

事件は、疑心暗鬼がもたらした殺人で悲しい。そしてフランス革命の余波が及び、悲劇が起こる。
論理的な解決、親切な叙述。
なによりD伯爵が理想的な上司で為政者で、格好いい。探偵役のキレはないけれど、それを受け入れる度量もいい。

2025年3月6日

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読書状況 読み終わった [2025年3月6日]
カテゴリ ミステリ

【収録作品】
前口上
女か猫か…江神二郎シリーズ(学生アリス)
推理研VSパズル研…同上
ミステリ作家とその弟子
海より深い川…火村英生シリーズ(作家アリス)
砂男…同上
小さな謎、解きます
あとがき

あとがきでそれぞれの短編の成り立ちのようなことが語られていて興味深い。

2025年3月5日

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読書状況 読み終わった [2025年3月5日]
カテゴリ ミステリ

ファンタジーとしたけれど、分類はよくわからない。
何だろう、苦手なほうの伊坂作品なのだけれど、結末は納得という……

2025年3月4日

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読書状況 読み終わった [2025年3月4日]
カテゴリ ファンタジー

【目次】
第一章 「もっともらしさ」の秘訣
 フェルメール、ファン・エイク、ベラスケス
第二章 時代の流れと向き合う
 ゴヤ、ミレー、ボス
第三章 「代表作」の舞台裏
 ピカソ、ゴーガン、ボッティチェリ
第四章 見えないものを描く
 レオナルド・ダ・ヴィンチ、セザンヌ、クリムト
第五章 名演出家としての画家
 ルーベンス、ドガ、ルノワール
第六章 枠を越えた美の探求者
 アングル、ムンク、ミレイ
第七章 受け継がれるイメージ
 カラヴァッジョ、ゴッホ、マネ
第八章 新しい時代を描き出す
 ブリューゲル、モリゾ、モロー

図版が見やすく配置されていて、説明とあわせてわかりやすい。
モリゾについてもっと知りたくなった。

2025年3月4日

読書状況 読み終わった [2025年3月4日]
カテゴリ 美術

【収録作品】
「王さまの塔 ドミニカの民話より」 お話・香山多佳子
「魔女の赤い帽子 アイルランドの昔話より」 お話・香山多佳子
「りこうな小ジカ マレーシアの昔話より」 お話・香山多佳子
「花のお城 日本の民話から」 お話・富本一枝

これが影絵とは。

2025年3月2日

読書状況 読み終わった [2025年3月2日]
カテゴリ ファンタジー

イタリアの児童文学作家ロダーリが約60年前に書いた詩に、荒井良二の絵が見事にマッチした、平和を問う絵本。

この平易な問いに答える言葉を持たないことが情けない。
過去には世界はよくなっていくよね、と思えた瞬間もあったけれど、あれは錯覚だったのか。

2025年3月2日

読書状況 読み終わった [2025年3月2日]
カテゴリ 絵本

静かな雪の一日が、幼稚園がお休みになったうさぎの子どもとその母親の姿を通して描かれている。
雪にわくわくする子どもとそれを見守る母親の温かいまなざし、そして雪で帰れなくなった父親を案じるかのような母親の表情。決して饒舌ではない絵がしみじみと語りかけてくる。
2005年学研刊の新装版。

2025年3月2日

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読書状況 読み終わった [2025年3月2日]
カテゴリ 絵本

【収録作品】
有栖川有栖「アイソレーテッド・サークル」
北沢陶「お家さん」
背筋「窓から出すヮ」
櫛木理宇「追われる男」
貴志祐介「猫のいる風景」
恩田陸「車窓」

角川ホラー文庫30周年を記念したアンソロジーの第3弾。
「アイソレーテッド・サークル」霧に閉じ込められた学生たちの悲劇。神隠しの噂があり、地元の人さえ立ち入らない場所へ。
「お家さん」大阪の商家で新入りの長吉に聞こえる、恨めし気な声。店の者からは腫れ物に触るように扱われているお家さんが長吉を「ええ子」というのはなぜか。
「窓から出すヮ」筆が乗らず、怪談を集めるホラー作家。
「追われる男」昭和か。
「猫のいる風景」姉の自死の理由を探る妹と叔父の心理戦。自業自得とはいえ、ラストの先を想像するとグロい。
「車窓」著者得意の会話劇。車窓から見える看板は何を意味しているのか。

2025年3月1日

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【収録作品】
「ミステリー研究会の幽霊」有栖川有栖
「雨の鈴」小野不由美
「ミミ」小池真理子
「帰り道」朱野帰子

「ミステリー研究会の幽霊」『濱地健三郎の幽たる事件簿』所収。学校もので、穏便というか面子を選ぶ形の解決法だが、ミステリー研究会に集まる子たちならいいか。
「雨の鈴」『営繕かるかや怪異譚』所収。雨の日にだけ現れ、だんだん自分の家に近づいてくる女。これは本当に怖い。その場しのぎのような解決だが、本物の怪異に対して人間ができることなどたかがしれているということだろう。
「ミミ」『懐かしい家』所収。祖母に連れられてピアノのレッスンに来る少女。切ない。
「帰り道」『くらやみガールズトーク』所収。あちらの世界に足を踏み入れてしまった主人公。ちょっと教訓ぽいかな。

2025年3月1日

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【収録作品】
第一章 影の病
第二章 入ってはならない場所
第三章 夜との約束

第一章 ドッペルゲンガーの話。子どものころ、影踏み遊びが好きだったけれど、ここに書かれているような話を知っていたら、無邪気に遊べなかったかも。
第二章 ゼミ合宿。そこが禁足地となることに理由はないという話がいちばんぞっとする。沙絵さん登場。異捜の非情さを知らされる一幕。
第三章 尚哉・高槻・佐々倉は高槻が発見された場所へ向かう。

ラストに意外な知らせが飛びこんできて、いよいよクライマックスか。

2025年3月1日

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読書状況 読み終わった [2025年3月1日]
カテゴリ ホラー

平和な王国ブルーノをひどい嵐が襲い、いくつもの村が被害にあう。
前からと後ろからで視点を変えた物語。
前からは小さな村に住むタルカスの物語、後ろからは王様の物語が綴られる。

相手の立場に立ち、多視点で物事を捉える人は優柔不断にみえるし、落とし所を見つけるのは難しく、時間がかかる。
ともすれば二項対立で相手を責め、権利をまくし立てるほうがわかりやすいから、思考停止してそちらに身を委ねたくなる気持ちもわかる。(昨今の風潮はこれかな)

でも、人が言葉と思考を持っているのは、それじゃいけないからじゃないのかな。
『二番目の悪者』と通ずるところもあり、考えることの大切さを思う。

SEKAI NO OWARIのFukaseによる初の絵本とのこと。

2025年2月21日

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読書状況 読み終わった [2025年2月21日]
カテゴリ 絵本
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