ぬるい眠り (新潮文庫)

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本棚登録 : 4473
レビュー : 502
著者 :
しげみちさん    読み終わった 

江國香織先生の短編集。内容は恋愛中心ですが、不倫だったりなんだったりで、変わった形が多いです。
以下、それぞれの感想(おもいっきりネタバレ注意です)

「ラブ・ミー・テンダー」
 短編集の始めらしい、恥ずかしくなるほど爽やかな内容で、とても好き。

「ぬるい眠り」
 不倫もの。なのに暗くなくて、でもやっぱり悲しくて、すごく切なくなった。結婚指輪なんて馬鹿みたいとうそぶいて、でも自分の中にはっきりとした嫉妬を認めて情けなくなったり、それでも暗くはならない主人公の感じが、なんだかとても好きです。強がりと本音と色々がないまぜになった感じがリアルで、一番共感できた話かもしれません……

「放物線」
 学生から社会人になり、変わっていく友人関係みたいな内容。オチも何もないけど、リアルで、それだけで読ませるすごい作品。

「災難の顛末」
 ノミにさされた!という災難で、人生観が一変するという、とても馬鹿らしい、不思議な作品。もちろんノミは例えで、思いがけない何かでこれまでの価値観が崩れる瞬間が……みたいな内容なんだけど、全然説教臭くならず、なんかコメディホラー風(?)で、おかしくて笑ってしまいました。

「とろとろ」
 恋人にのめり込むのが怖くて、浮気をしまくる女性のお話。実はこの話が一番感情移入しにくかった。女性の方が感情移入しやすいかもしれない。しかし、江國さんの書く女性は、すごくいいなと思うのに変わりはないけど。

「夜と妻と洗剤」
 これも始めの作品と同じく爽やか系。この手の爽やか大好きです。

「清水夫妻」
 葬式が趣味、という罰当たりな夫婦に惹かれていく女性の話。この話は不思議な雰囲気すぎて、生とか死とか堅苦しいテーマを臭わせないのだけれど、そういうことが逆に伝わって、楽しく読めてしんみりもできるという2重でおいしい話でした。

「ケイトウの赤、やなぎの緑」
 きらきらひかる、の十年後の世界。大好きなあいつらがあい変わらずの感じで、ほっとするようなしないような。”まっとうで、まっすぐで。私に言わせればそれは暴力だ。”ってセリフが心に残った。

「奇妙な場所」
 これも爽やか系。最後らしくデザートっぽい位置づけ。

全体的に
 明るく読みやすい感じなのに、実は一般的にかっこわるいとされる感情にスポットライトが当たってる気がした。でもそれが江國さんに書かせるとあんまりネガティブじゃなくて、むしろ魅力的な感じに書かれている気がして(強がりに見える部分もあるけど)、元気をもらえた。自分もかっこ悪いけど……みたいな(ちょっと恥ずかしくて書けませんが)。

レビュー投稿日
2014年6月25日
読了日
2014年6月25日
本棚登録日
2014年6月8日
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