健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

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本棚登録 : 955
レビュー : 86
著者 :
死海文書技術研究所さん 漫画   読み終わった 

2015/04/15開催の若手ビブリオバトル@雑司ヶ谷で紹介された本⑤。翌日ネカフェですが京都にて1巻まで読了しましたのでレビューします。

私は福祉事務所には行ったことはありません。でも、リアルに生活保護受けてもおかしくない生活はしていたことがあるので、結構リアルだなぁと思って読みましたよ。

生活保護に関する知識は、何処にでも当てはまるような本当に基本的なレベルについてさっとしか触れていません。ですから、生活保護についてしっかり知りたかったら「自分の生活地域でどうなってるか」を特に意識して、漫画で得る知識とは別に調べる必要がありますね。ケースワーカーという仕事を把握する上でも同じです。
ここで描かれてる人間模様も、「現実よくあること」ではなく、「こういうケースもあるんだ」と一旦突き放す必要を感じました。「生活保護受給者にも様々な事情がある」こと以上に、「生活保護受給者という括りで、彼ら・彼女らがどんな人達なのかを一概に説明することなど不可能」ということをむしろ読み取るべきだと思います。

難しいですよ。この漫画。おそらく、百人いれば百人違う読みになるでしょう。受ける印象から共感度までかなりバラツキが出るんじゃないかな。理由は単純。「この漫画を読んでいる今の自分がどういう生活状況にいて、これまでどういう生活を経てきたか」がその時々の漫画の評価にモロに影響を及ぼすテーマだから。そういうテーマだと思いますね、生活保護って。
その分、「繰り返し読めば読むほど味わいが変わる」面白い漫画とも言えましょう。

それでも、この巻に描かれているどの生活保護受給者達にも共通するある面に私は読んでいて気付かされました。それは「生活保護なんかに頼りたくない」という至極真っ当な想いです。その想いが「こんな事になったのは自業自得で、責任は自分で取るのが当たり前だ」という形で露骨に対応として現れている姿です。一見個人主義的で上昇意欲がある結構な態度と思いがちですが、生活保護受給者達に至ってはそういう意識が改善に対する足枷にすらなっている。

本来なら、人に頼ることで人から頼られるのが当たり前なんです。自分で自分の責任を取り切れない弱さゆえに受給しているんです。

そういった状況下で「自分の意志で選択したんだ」という自負とか、「自分はこんな人間じゃない」という自尊心とかは全部裏目に出ます。心の底から頼り、一緒に弱さを克服していかなくてはならないことを受け入れられない。阿久沢さん、岩佐さんはそういう面がかなり強く出ていると思いますね。

そんな訳で義経ちゃんはじめ新米ケースワーカーさん達に言いたいのは一言、「ま、頑張って」。

レビュー投稿日
2015年4月12日
読了日
2015年4月12日
本棚登録日
2015年4月11日
3
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