最後まで読み終わりました。
上巻のレビューでレズビアンの話と言いましたが、登場人物のそれぞれの心の傷が交錯していく中で「本当の幸せって何なのか?」という事を鋭く抉って問い直す、そんな愛の物語でもあったと思いますね。最終的に愛を築けたからこそ、二人で出頭エンドも何処か救いを感じることが出来るのだと思います。
しかし、兄ちゃんの嫁さんが本当に素晴らしい女性でね。よくこんなクズと結婚したなぁ勿体無いぞおいと思える程です。詳しくは書かれていませんがきっとこの嫁さん、人生の辛酸を嘗め尽くした女性だと思いますね。
「片方の身内に何かあったときに共倒れせんように、家族は他人と作るんよ。(中略)一人で耐えられへんこと耐えさせるために、一緒に居るんよ。
うちは、平気やで」
このセリフが非常にグッと来ましたね。
「なぜ家族が大事なのか?」「なぜ赤の他人を愛して、家庭を作るということが人生に必要なのか?」という問いに対する根源的な答えだと思います。
智代美と草子も、つらい時苦しい時に支えになったからこそ、一人では耐えられない「夫からのDV」や「劣悪な家庭環境での生い立ち」や「レズビアンであることの生きづらさ」という苦しみを共に戦っていけたからこそ、つながれたのだのでしょう。そこに同性愛であることは関係ありません。
あなたには、何かあったときに共倒れせずに救ってくれる人がいるだろうか?
一人で耐えられず、抱えるには重過ぎて自分を壊してしまうような、そんな苦悩を一緒に耐えて、乗り越えていける人がちゃんと側にいるだろうか?
人と接する中で、あなたは相手にとってそういう人になれているだろうか?
そのことが呼びかけとして、私に伝わってきました。
- 感想投稿日 : 2015年5月31日
- 読了日 : 2015年5月31日
- 本棚登録日 : 2015年5月31日
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