コーヒーが冷めないうちに

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本棚登録 : 6505
レビュー : 736
著者 :
死海文書技術研究所さん 文学   読み終わった 

物々交換会で手に入れた本です。こう、帯に「4回泣けます」とか自信満々に書いてある本ってどうしても「おうテメェコラ、泣かせられるもんなら泣かしてみろコノヤロウ!」というひねくれた反骨精神がムクムクと湧いてきますよね。元の持ち主も書店で見かけた時そう思ったようです。が、結局「4回泣いちゃったのよ」ということでした。そういう話聞くと余計「泣くもんか! バァロー!」と反骨精神により一層の磨きがかかるというもの。

内容はというと、時間を移動出来る不思議な席がある喫茶店「フニクリフニクラ」を巡る4人の人物(タイムトラベラー)の物語(全4話)、とのこと。ほぉ? そうかい、各話1泣きで計4回って算段かい。いい度胸してんじゃねぇか。そんなに打率の高い御涙頂戴なら、じっくりこの目で読ましてもらおうじゃねぇか、おお?!

ってことで読み終わりました。結論から言えば、一回も泣きませんでした。

名誉のために言っておきますが、この本は確かに4回泣ける本です。あ、こりゃ泣くわと、感動するようにお話を作り込んであるわと、そういうのは読んでいてピンと来るんですよ。確かに「泣ける話」なんです。看板に偽りはないです。そこは安心していただきたい。

だからこそ、これから手に取られる向きの方にあっては、何卒脳味噌を空にして何の先入観もなしに、素直な心で読んでいただきたい。素直な心で4回涙していただきたい。私と同じ轍を踏まないためにも。
もっと有り体に言いましょう。帯のコピー邪魔!

あの、要はですね、こちらの態度がひねくれ過ぎてたなぁ、という反省です。素直に4回泣いときゃ良かった。
確かに一回も泣きませんでしたが、より正確に言えば、泣くのを堪えてしまったり、泣きどころでしっかり感情移入し切れなかったりして、泣きそびれてしまったという感じです。
で、こういう感じで迎える読後感は非常に残念な味わいになることを、読み終わった今身を以て体感してます。例えるなら……何でしょうね……こう、恋人とデートで映画館行くじゃないですか、で、恋人の方が「すっごい観たいの! ねぇねぇ一緒に観よ? 絶対面白いし絶対泣けると思うの!」って言われて紹介された“全米が泣いた! 感動の超大作!”映画を一緒に観るんですよ、んで、恋人の方はめっちゃ感動して目を腫らして泣いてるんだけど、自分の方はというと最初から最後まで能面シラフ状態っていう時の、あの何とも言えない、めっちゃ気まずい感じ? 下手に内容も知ってしまっているので、海馬に全4話インプットされている限り当分泣けないという。あーあ……。

あとはねぇ、全体としてちょっと「書き過ぎ」というか「語り過ぎ」な文章だったなぁ。味わいとしてどうしても、くどい、安っぽい、何より、野暮ったい印象を受けてしまう。はっきり言ってしまえば、芸がないんだな。
分かりやすいし読みやすいのは構わんのだけど、
「そこストレート過ぎない? もうちょっと直球じゃない言い回し使おうよ」
「そこ要らない情報多過ぎ。もっと削ってスリムにしても十分読者に伝わると思わない? 特にその子の服の話とか、その子の表情の話とか、ルールの確認とかさ」
ってツッコミたいところは結構あったな。作者が演劇畑の人で、小説としてはこの本がデビュー作っぽいから、厳しいことはよう言わんといたるけどな。

レビュー投稿日
2019年6月4日
読了日
2019年6月3日
本棚登録日
2019年6月3日
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