先生のレズビアン宣言 つながるためのカムアウト

  • かもがわ出版 (1999年5月20日発売)
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しんらん交流館(真宗大谷派の施設)の東本願寺文庫で借りて読みました。性的少数者(セクシャルマイノリティ)の問題(差別、人権の保障等)に関心があったので読んでみたのです。
私自身は(今のところですが)男性で異性愛者なのですが、女装好きということではTV(トランスヴェスタイト)というマイノリティに入りますかね。で、今の生活は自由に女装しにくい環境で、つらさは若干感じています。

↑というようにさらっとカムアウトしてみました。でも、誰にでも打ち明けるのは正直抵抗があります。「言ったらドン引きされる」という思いもありますし、普段男でいると「男でいるほうが結局ラク」というところで、私自身もホモネタ等性差別に同調していたところ、正直ありました。
この本はレズビアンに限らず、性的少数者について考える上で、そして性差別を生み出す日本社会の構造について考える上で良書です。16年前と今ではカムアウトへの抵抗感は変わったものの、書かれている内容は決して古くありません。今でも現在進行形の身の問題です。私自身も読みながら大いに反省したところ、大いに勇気付けられたところが沢山ありました。

関西弁交じりの、至って平易な文章です。自己の性を考えるということから、カムアウトしたからこそ課題になっていること、そして課題をうけてどのように歩んでいくかの一つのストーリーがあります。当時の社会背景も含め、カムアウトに至るまでの苦悩は非常に克明に描かれています。高校の生物教師という立場から、教育のあり方にも触れています。私がこれからやろうとしている仕事も「人にものを教える」仕事ですから、当然自分のこととして考えさせられました。

「男性であること」の中に潜む差別性、男社会・異性愛社会が持つ問題性を、自分の問題として、自分の身に関わることとして、まずは問い直していきたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学術書
感想投稿日 : 2015年11月29日
読了日 : 2015年11月12日
本棚登録日 : 2015年11月12日

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