真夜中の電話 (児童書)

4.33
  • (14)
  • (12)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 99
レビュー : 19
shikk06さん  未設定  未設定

イギリスの児童文学作家ロバート・ウェストールの短編集。
どれも死や戦争の匂いに満ちていて、じっとりとした雰囲気のある短編ばかり。

以下、各話ごと。

「浜辺にて」
ひねくれ者の少年が家族へ連れていかれた休暇旅行の海岸で
見知らぬ美少女と出会うも、何故か彼女は自分の名前を知っており、という話。
まあ、予想通りの展開だけど、少女と少年のやり取りがなんともからっとしてて面白い。

「吹雪の夜」
無神論者の少年と牧師の娘が山中で突然の吹雪に巻き込まれる、という話。
甘酸っぱい恋の物語から突如一転して、地獄のようなサバイバル物に。
『男は臆病だからこそ命を危険にさらすことができるのだ』はけだし名言。
壮絶なサバイバルの結末は思わずニヤニヤするようなハッピーエンドなのがいい。

「ビルが見たもの」
盲目のビルが犯罪の”目撃者”になる話。オチはどうということはないけど、盲目であるがゆえの無力感や苛立ちの描写が丁寧。

「墓守の夜」
墓守のセムは夜な夜なやってくる幽霊たちの話し相手になってやっている。しかし、その夜は、どうやら普通の幽霊とは違うものが来たらしく、という話。
幽霊たちの愚痴や悩みに根気強く付き合うセムの様子はなんとなく可笑しみがある。

「屋根裏の音」
戦時中、天井から不気味な音がすることに気づいたマギーは屋根裏部屋で軍隊に行ったはずの父を見つけてしまう、という話。
マギーが父親にぶつけた言葉が何とも言えず、後味が苦い。

「最後の遠乗り」
あるバイク乗りが仲間の死をきっかけに、バイクに乗ることを諦める話。
死んだ仲間の存在を身近に感じながらも、
やがてバイクを降りた自分が仲間から遠ざかって、
平凡な人生へと向かっていくであろうことに葛藤する様子が何ともやりきれない。

「真夜中の電話」
クリスマスイブの夜、自殺相談ダイヤルの当番をしていた夫婦の元に
錯乱した女性から「夫に殺される」との電話がかかってくる、という話。

「羊飼いの部屋」
極寒の吹雪の夜に役立たずで嫌味な友人と二人きりで山小屋で過ごすはめになる話。
『吹雪の夜』と真逆のシチュエーションで、互いに憎悪を募らせていく様子がリアル。
キャンプに来た理由を問われた際の一言が、友人を単なる嫌なやつで終わらせず
何とも苦い後味にしていて上手い。

「女たちの時間」
戦時中、村に残った数少ない男性だった主人公が、
未亡人となった幼馴染との交流や祝勝会の一夜について回想する話。

レビュー投稿日
2017年12月19日
本棚登録日
2017年1月26日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『真夜中の電話 (児童書)』のレビューをもっとみる

『真夜中の電話 (児童書)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする