昭和維新試論 (講談社学術文庫)

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レビュー : 6
著者 :
shimu2さん  未設定  読み終わった 

[転回の夢の跡]第一次世界大戦を経たのちの精神的荒廃から、当時多くの日本人の心をとらえた「昭和維新」という思想。人それぞれに思い浮かべたものが異なるこのおぼろげな概念を、代表的な思想家の考えを基にしつつ検証を進めた作品です。著者は、本書の執筆中にお亡くなりになられた日本の政治思想史の研究者、橋川文三。


20世紀初頭からその前半にかける思想の一断片が、一次資料等を用いながら記されており、当時の人々の考え方が那辺にあったのかがおぼろげながらつかめるのではないかと思います。「昭和維新」という考え方そのものが一つの極めて明快な思想を語っているわけではないためか、著者の筆がときに揺れ動く感があるのですが、その揺れも含めた昭和初期の思想の「つかみにくい感じ」を体験できるかと思います。


本書を通じて伝わってくる大正から昭和初期にかけての思想を貫く特徴はなんと言ってもその「悲壮感」。危機感というよりは、その危機を目前としてなす術がなく立ちすくんでいるというように受け止められるほどの絶望にも似た思想家たちの考えが、今から振り返ってもその時代の思想がなんとも「暗さ」に満ち溢れたものにしているのかもしれないなと考えてしまいました。

〜北の天皇論は理論的にはきわめてラジカルな「天皇機関説」の側面をそなえていたのに対し、青年将校一般の天皇論は、北のその機関説的契機を抜きにして、心情的な天皇帰一を空想したというちがいである。〜

上記抜粋のように北一輝の箇所は読み応えが特にあります☆5つ

レビュー投稿日
2015年6月8日
読了日
-
本棚登録日
2015年6月8日
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