日本のITベンチャー企業の社員で商品の売り込みやユーザーサポート、そして少しだけだがコーディングもできるソフトエンジニア(もしくはエンジニア営業、技術営業?)文椎泰洋(ふづいやすひろ)を主人公に、彼が遭遇する危機や奇妙な出来事を描く。SFと呼んでいいのだろうか?
中々評価が難しい。たぶんソフトウェア開発の経験がなければ、そして最近のインターネットを前提とした開発環境と、コミュニティ、技術を前提としなければ理解する事も難しいかも。
しかも、話の主題はそういう技術的な部分のリアリティにではなく、物語の中で文椎が遭遇する事態に対して、彼が彼なりの論理で筋を通すやり方、生き方にあるからだ。
そのへんの文椎という人物の拘りは、彼が単なるエンジニアや、ギークではないという事、いや、そこまで突き抜けられない、突き抜けようとは考えない部分にあって、IT界での話でありながら、一種の人情話的な側面を持っているように感じる所以ではないだろうか。
呼んでない人に説明するのは難しいが、呼んでみてほしいと思わせる本だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF(国内)
- 感想投稿日 : 2020年3月19日
- 読了日 : 2020年3月19日
- 本棚登録日 : 2020年1月4日
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