戦争と日本人 テロリズムの子どもたちへ (角川oneテーマ21 A 133)

  • 角川学芸出版 (2011年2月10日発売)
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感想 : 21
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率直に言って難しかった。
歴史は大好きだけど、近現代史は苦手だ。嫌いといってもいい。なぜって怖いから。大正や昭和なんて新しすぎて歴史って感じがしないし、ただただ戦争ってものが怖い。
だからずーーーーっと避けてきた。火垂るの墓だって怖いから見ない。
戦争の悲惨さや恐ろしさは、NHKの番組で毎年いやというほどやるし、学校でも習うし、正直辟易さえしていたから子供の頃から若い頃までは避けてきた。

けれど、ここ数年で日本はどんどん良くない風に変わっていっているように感じる。数に物言わせて必要かどうかもよくわからない法律ができたり、何か起きればマスコミ国民の一斉バッシング。忖度なんて言葉が流行語になっちゃう。
そしてそんな日本を「戦前に似ている」と言う人がけっこういて、そういえば戦争ってどうやって起きるのだろうと。何年に何々戦争が勃発したとか何年に終戦したとかそういうことは習ったけど、そもそも突然チュドーン!と戦争って始まるもの?昔の人たちはさも戦争の被害者みたいな顔をしているけど本当にそうか?だって総理を選んだのはあんたらなのに?とか、そういう戦争が起きる前にどういうことがおきて、どうやって戦争がおきるのかが知りたくて読んだのが、加藤陽子さんの「それでも、日本人は戦争を選んだ」で、さらにもっと色々読んでみようと思ったら、まさか佐高信さんの対談があるなんて!と嬉々として手に取りました。

が、難しい。対談の中で「それでも、日本人は戦争を選んだ」の中の学生さんのような反応は奇跡に近いと加藤さんは言っていたけど、本当にその通り。まず人物名がまったく分からない。幸徳秋水も大杉栄もこの対談ではじめて知ったし、原敬も犬養毅もまったく知らない。総理も官僚も大臣の名前も知らない、外国の大統領も然り。もっと言えば歴史の年表も頭に入っていないから、前後に何が起きてるのかもよくわかっていない。

こんなひっどい状態の私でも、ウィキペディアとかでどういう人物なんか調べたりしながら、なんとかかんとか読み終えました。
特に面白かったのが「徴兵制と不幸の均霑」〜「草の根ファシズム」まで。徴兵制なんてトンデモナイことどうして受け入れちゃったのか、なんで満州なんて遠い国にわざわざ行こうと思ってしまったのか。そういうことがわかったし、また女性が政治に参加することが戦争加担に一役かってしまっていたこととか。朝ドラで戦争に積極的じゃない主人公をやたらと蔑む割烹着の女性がよく出てくるけど本当にいたんだ。雑誌や読み物の巧みな誘導など空恐ろしい。
けれど今にだって、言葉を変えて存在するものじゃないか?と。

正直、一度読んだだけだから全然理解度が低い。何度も何度も熟読しないとわかったような気から抜け出せない。私のような近現代史の知識弱々な人間じゃあ、それくらい読み込まないと理解できないくらい難しいけど、この対談の中で色んな書記や本の名前が挙げられているから、今度はそれを読んで、またこの本を読み返したい。
テロリズムをする子どもにならないためにも、私はこの本を読んでよかったと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他活字
感想投稿日 : 2018年6月21日
読了日 : 2018年6月21日
本棚登録日 : 2018年6月21日

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