ビッチマグネット (新潮文庫)

3.86
  • (21)
  • (23)
  • (24)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 216
レビュー : 25
著者 :
shinyataguchiさん 小説   読み終わった 

ある意味、これは箱庭小説とも言えるのではないだろうか。
「家族」という箱庭を出て、少女が「個人」へと成長していく物語。
または「物語」という箱庭を出て、人生とか将来とか、そういう「現実」のようなものに踏み出していく物語。
というふうに考えると「臨床心理士」とか「セラピー」とかいうフレーズも思惟的に思えるのだけれど、それは筋違いだろうか。

たとえば63ページの、「ってそんなの興味とも言えない単なる思いつきだけで(…)受験して合格する。認知行動療法に興味を持つ。私は臨床心理士になりたい。」の辺りみたいな、短い平叙文をいくつも並べる書き方が気になったのだけれど、これは意図的なのだろうか。
なんだかまるで、小説のプロットの走り書きそのままみたいに思えて、もしかしてこれはメタフィク小説なのかな、とも思ったりした。
語り手である香緒里はこの物語の時系列にはいなくて、これは別の地平線上にいる彼女が書いた小説なのだ、という。

家族という箱庭を出た彼女が『骨』の次に書き上げた小説がこれであり、そこには彼女の半身のような弟のことが中心に描かれている。
だからその弟を象徴づける「ビッチマグネット」という言葉を、この小説のタイトルに彼女はしたのである。

…というのはちょっと飛躍にすぎる解釈だとは思うのだけれど、
「物語が物語を飲み込んで、時に想わぬ飛躍も起こる」のだから、あながち間違いだとは言い切れまい。

というのはちょっと、強弁にすぎるかもしれない。

レビュー投稿日
2014年9月2日
読了日
2014年9月2日
本棚登録日
2014年9月2日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『ビッチマグネット (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『ビッチマグネット (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする