文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫 き 39-13)

著者 :
  • 講談社 (2009年6月12日発売)
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本棚登録 : 3226
感想 : 177
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死と殺意と、邪念と、それらに求心力を与える一雫の毒薬。バラバラな人々の情動や行動を、小さな壜が繋ぎあげてしまった、そんな物語だった。
シリーズの準レギュラーとも言える益田、青木の2人の視点で追いかける事件群の描写と、毒薬に関わってしまう男たち(+女)の心情描写とが折り重なって進んでいく。『陰摩羅鬼の瑕』で警察官として出てきた大鷹など、酷い言われようで釈然としないもやもやもあったが、最後の憑物落としまで読むとそんなことは気にならなくなった。今回も、なかなかに悲しい。榎木津が彼女にかけた言葉が、冴え冴えと胸に刺さる。
今回はキャラクター達の「らしくない姿」が表出した一編であった。らしくない、からこそ、不思議と当人の存在感がより増すような感覚もあり。益田と行動を共にしていた関口くんに対しては、前作から引き続き印象の転換があった。
あと、いつもぶっ飛んでる榎木津の人間臭い部分が垣間見えたのが印象深い。ちらっとしか登場しなかったが、木場はやっぱり刑事として勘が鋭いんだなあ、と旦那推しの私は密かにうれしく思うのだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 講談社文庫
感想投稿日 : 2024年4月24日
読了日 : 2024年4月24日
本棚登録日 : 2024年4月24日

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