中国特に満州からの引き上げ、集団自決、娘を死なせてしまったお母さんのお話が運命の残酷さが際立って辛い。
また当時の満州人から家を奪い移り住んだ日本人の考え方やなんかには現代人としては承服し難いものもあった。やったらやり返される、そんな感じの泥沼が混乱の中で増幅されていた。もちろん日本人に親切な中国人もいて、逃げまどう様子や道のり、どんな困難があったのか体験を読めて良かった。

2019年12月5日

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読書状況 読み終わった [2020年5月7日]

のび太のお父さん・ノビ彦の戦時中の疎開の思い出など。オチが息子の女装姿だっていうのは不憫。ずっと歳を取らないドラえもんの世界で、父の年齢を感じさせるお話…戦時中であろうとなかろうといじめって連綿とあるなと精神的に落ちている時に読んだら、うんざりした。
他にも疎開や出征のお話など。

2019年12月5日

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読書状況 読み終わった [2020年5月7日]

和竿職人で三代目竿忠の父、優しい母、跡取りの長兄、頭のいい次兄、やんちゃな三兄、末弟のコウちゃん、厳しい祖母の大家族で東京の本所に暮らす中根かよ子は器量も良くないし、甘ったれだと馬鹿にされたりもするけれど、愛想が良くてみんなに好かれる子だと愛されて育つ。
やがて戦争が始まり、沼津の父方の叔母のところへかよ子だけ縁故疎開するが、数ヶ月後東京大空襲により三兄のきいにいちゃん以外の家族をみんな亡くしてしまう。

一旦叔母家族と石川へ再疎開し、終戦を迎え、11月中野の叔母を頼って東京に戻るも、その焼け野原の光景に言葉をなくす。
街に出て行方不明のきいにいちゃんを探す日々、避けていた本所の自宅跡で家族の幻に励まされ、前を向き生きていこうと誓う。

林家一門の女将さん、海老名香葉子さんの自伝アニメ。虫プロ制作。昔見たことがあるような、ないような…幼い兄弟が家族を全て失う戦争の残酷さが分かりやすく伝わって来るいいアニメだった。少女のお母さんへの思慕が胸に来る隠れた名作だと思う。

かよ子が泣くときいにいちゃんが飛んできてやっつけてくれる、きいにいちゃんのイケメンぶりがいいなぁ。

2019年9月9日

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読書状況 読み終わった [2019年9月9日]

広島の呉にお嫁に来たすず。婚家での戦時中の日常を丁寧に描いたアニメーション。
正直同じ作者の原作はこちらより「桜の国 夕凪の街」の方が人に勧めたい傑作なんだけど、映像作品としてはこの作品の方が素敵だった。
姪っ子を失ったり、お互いの関わりのあった相手の部分がアクセントになってて、原作だと雑草で作る料理などの説明が川原泉作品的な雑学っぽくてそれはそれで悪くないけど、この部分を軽快にリズムよく描いていたのは良かった。

2019年4月18日

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読書状況 観終わった [2018年4月8日]
カテゴリ 32歳【2017-】

ループの中で永遠を生きる異能者の奇妙な子供達と施設長のミス・ペレグリン、そこにやってきたかつての仲間の孫。子供達の目を狙う不気味な奴らとの戦い。
第二次世界大戦でドイツ軍に施設を爆撃される日を繰り返す、設定やコスチュームやエヴァ・グリーンが美しく、久しぶりにティム・バートンのちょっとブラックコメディとゴシック感漂う色彩と雰囲気満載で、設定や子供達の能力も楽しかった。

2017年7月29日

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戦局厳しい太平洋戦争時のジャワ島の日本軍の捕虜収容所でジョン・ロレンスは日本軍との仲介役のような立場でハラケンゴと交流を深める。ある日、オランダ人捕虜と朝鮮軍属の金本の同性愛行為が発覚し、金本を切腹させようとする。粗暴で乱暴だけど情のあるハラ、一方冷静なヨノイ大尉は時に非情と罵られながらも、ある美しいイギリス人捕虜セリアズに心奪われ、惹かれていく。
セリアズに惑わされるヨノイの目を覚まそうと、殺そうとする日本兵や持ち込み禁止のラジオが見つかり、ロレンスとセリアズが処刑されそうになるものの、ハラが自分はサンタクロース(ファーザー・クリスマス)だと言ってクリスマスの日、酔っ払って二人を釈放する。
ある日、始終非協力的だった捕虜長が処刑されることになり、斬りかかるヨノイにセリアズは近づいていき、頬に挨拶のキスをする。そのことで、彼は穴に埋められ、処刑される。
夜、ヨノイは死んでしまったセリアズの髪を切り取り、のちにロレンスに自分の故郷の神社に奉納してほしいと願う。

終戦後、ヨノイは処刑され、ハラが処刑を待つ牢にロレンスがやってくる。ハラは英語を覚え、二人はつらつら話をし、あの日のクリスマスは最高だったと笑い合う。

戦闘シーンは皆無。やたら同性愛的な関係が繰り広げられることに結構びっくりした。
有名な映画で音楽は知っていたし、誤訳のことやうっすら設定は知っていたけれど、こんな映画だったんだ、と今更見て思った。
デビッド・ボウイ、坂本龍一、北野武など異色の組み合わせが際立つ。反戦映画だけど、家族で見る映画じゃないな。
ハラとロレンスの友情が良かった。

2016年12月25日

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読書状況 観終わった [2016年12月25日]
カテゴリ 31歳【2016-】

第二次世界大戦中、誰にも解けないと言われるドイツの暗号機械・エニグマの解読の為、アラン・チューリングはブレッチリー・パークにやってくる。毎日午前零時には変更されるエニグマの設定は2000万年かかっても計算できない程のパターンがあった。

鼻持ちならない変わり者のアランを同僚は鼻白むが、彼はエニグマを解読するための機械を作ろうとしていた。
彼はそれに少年時代の親友で死んでしまった初恋の人・クリストファーの名をつける。

首相チャーチルに掛け合い、責任者になった彼は役立たずをクビにし、新聞でクロスワードを10分で解けた人間を募集し、そこに現れたジョーンという女性の助けにより、仲間とも上手くやっていくことを学ぶ。

仲間内にいるソ連のスパイ、ジョーンとの短い婚約、違法である同性愛者という秘密、エニグマ解読の最高機密によって最短での勝利のため選別しなければいけない死、全てが終わった時、全てが燃やされる。

数年後、泥棒に入られた彼は警察に同性愛者として逮捕され、刑務所に行く代わりにホルモン注射を受けさせられボロボロになるが、それでもクリストファーの側から離れたくないと泣き…

今日のコンピューターの基礎を作ったアラン・チューリングのエニグマをめぐる物語。
実際のエニグマ解読の機械の名前はクリストファーではなかったようだけれど、少年時代の恋とそのショック、それが物語にとても効いている。
クリストファーがくれた言葉をジョーンに与え、またその言葉をもらう。
偉大で、とても切ない。
ヒューの皮肉も随所に効いてて、全体にイギリスっぽいウィットにも富み、面白くもあり、何十年もその功績が秘匿されていたということが、世界はまだまだ知らないことだらけだと知らなかった事に対するショック、でも知る喜び、考える喜びを思い出させてくれる映画だった。

2016年1月20日

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読書状況 観終わった [2016年1月20日]
カテゴリ 30歳【2015-】

50年も昔に別れた危篤の兄がハワイから会いたいと言って、息子が来る。
祖母はたくさん兄弟がいて、兄の事を覚えておらず、渋っていたが、子供達がハワイに様子を見に行き、孫たちと過ごせるのが嬉しい。
戦争の事、異文化交流、長崎の当時の様子が妙に印象に残る。

演出の妙な違和感と不自然(今となっては)な感じが悪くない映画だった。

2015年12月19日

読書状況 観終わった [2015年10月10日]
カテゴリ 30歳【2015-】

戦前カナダに移民として渡った日系人たちが、現地での差別や厳しい労働環境、貧しさの中希望を見出した、野球チームの話。
日系一世と二世の間に横たわる意識の違い、家族や戦争を折りませながら、体格で劣る弱かったチームが送りバントと俊足を武器にクレバーな野球でカナダ人にも人気を得ていくが…。

よく働く移民によって、賃金の低下が起こり仕事を奪われる側、外貨を稼げると意気込んでやってきたが挫折し迫害される側、現代の日本は国策として移民を送り出す側ではなくなったけれど、ここに戦争が絡み、二度とチームが復活しなかったという史実を知り、切ない気持ちになった。描き方は少々ドラマ重視でカナダ人側の感情や送りバントなんて戦法だけで勝ち続けられるのか?という疑問もわいてくるけれど、街並みのセットは雰囲気が伝わってきてよかった。
池松壮亮や高畑充希の演技もよかった。
が、目当ての貫地谷しほりをはじめ、宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア、本上まなみの無駄遣い感が半端ない。
題材はいいのにもったいない映画だった。

2015年9月14日

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読書状況 観終わった [2015年9月14日]
カテゴリ 30歳【2015-】

決して善人ではなかった工場経営者のシンドラーがユダヤ人を救うお話。完全な善でも悪でもない、揺れ動く人の姿がよかった。

2016年3月13日

読書状況 観終わった [2015年2月8日]
カテゴリ 29歳【2014-】

ナチスの戦犯の子供達が必死に戦後、逃げておばあちゃんの家を目指すお話。

2016年3月13日

読書状況 観終わった [2014年8月31日]
カテゴリ 29歳【2014-】

ユダヤ人でありながら、戦後何年も経ってから捕えられたナチの戦犯アイヒマンの裁判に関して、彼には罪やユダヤ人に対する憎悪の意識はなく、命令にただ従うのみ、凡人の思考停止というわかりにくい悪があり、凡庸な悪こそがあの事態を招いた。またユダヤ人指導者たちの協力もあった…という記事を書いたことからアーレントは批判を浴びる。
ハイデガーの愛弟子(かつて不倫関係にあった)でフランスの抑留キャンプより逃亡し、アメリカへ亡命した彼女の人生を描いたお話。

フランスの抑留キャンプのことを改めて知りたいと思った。実際のアイヒマンの裁判映像も交えた構成、当時の彼女への批判の凄まじさも、離れていく友人たち、特にシオニストのかつての同士たちが理解してくれないのが歯がゆい。
哲学者という視点から、自身がかつてナチの迫害を受けた身でありながらも、感情に終始することなく裁判やアイヒマン自身を批評し、悪の根源とは、と問いかける、その姿勢は素晴らしいと思う。

2016年3月13日

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読書状況 観終わった [2014年8月16日]
カテゴリ 29歳【2014-】

戦時中、不倫の恋を秘める奥様を見守る女中。
大正ロマン的雰囲気も漂っていて、黒木華の演技が光る映画だった。

2019年4月18日

読書状況 観終わった [2014年8月14日]
カテゴリ 29歳【2014-】

零戦を作った実在の航空技術者である堀越二郎をモデルに、堀辰雄の小説の世界、ロマンティックな悲恋・サナトリウム描写、スパイ・ゾルゲなども盛り込んだお話。
一人の人物の人生+お話のエピソードが盛り込まれているせいかすごくわかりづらい話ではある。

2019年4月18日

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読書状況 観終わった [2014年8月3日]
カテゴリ 29歳【2014-】
読書状況 観終わった [2014年3月12日]
カテゴリ 28歳【2013-】

広島に原爆が落とされてから十年、原爆スラムに暮らしながら職場の打掛さんからの好意に、死んでいった姉や妹、被爆者への後ろめたさを感じる皆実。街の人々の何もなかったかのような振る舞い、だけどそこここに残る被害や忘れられない情景。誰かに死んでもいい人間だと思われた自分、生きていてもいいのかと思いながら、やがてある日突然起き上がれなくなり、皆実は自分が死んで、原爆を落とした人は嬉しいと思ってくれてるだろうかと問いながら死んでいく。

原爆が落とされてから40~50年後、疎開していた皆実の弟・旭と子供達、ただひとり生き残った祖母、被爆二世としての結婚差別、家族を原爆に奪われた苦しみ...

小学校の修学旅行で行った原爆資料館はゆがんだ時計や人の影の焼きついた石の写真など、直接的にたとえば川を埋め尽くす人の遺体とかはだしのゲンで見たような光景はなかったように思う。ただ未だにあの蝋人形だけは恐ろしくて、強烈でもう一度行くべきだと思いながらも広島の資料館には行けてない。
想像力が乏しいのか、もうすでにもっとえぐい絵や話を聞いていたせいか、少女だった語り部のおばあさんが駅でホームの下にもぐりこんだ話にはあまりぴんと来なかった。

今回、この本を読んでわたしが知りたかったのは、当日のことだけじゃなくて、その後のことだったのだと思った。意外とその後をこんな風に描いた本は少ないように思う。わたしの知る努力が足りなかったのかもしれないけど、原爆スラムのこともはじめて知った。
原爆スラムのこと、あの戦争で受けた傷を癒せなかった人はどう生きていったのか。
戦後は焼け野原から必死に立ち上がって経済成長を成し遂げた、という過程の中でその大きな渦の中でこの国の人々は、広島・長崎の人々はどう生きたのだろう。そういうことが改めて心に問われる本だった。

皆実の死に際の言葉がすごく印象的だった。

2013年9月17日

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読書状況 読み終わった [2013年9月17日]
カテゴリ 28歳【2013-】

戦時中、軍需工場で空襲警報の中こっそり漫画を描いたりする手塚治虫、ガキ大将に気に入られてマラソンをがんばったり、トキワ荘が漫画家たちを語ったり、漫画の神様と共に漫画化人生を描いたり、漫画の描き方を動物と人間の西部劇で描いたり、文章エッセイなど漫画にまつわる自身を主人公にしたお話を収録。

宝塚音楽学校でオペラのプリマドンナを夢見る少女が空襲でひどい怪我をする話が切ない。

2012年7月9日

読書状況 読み終わった [2012年7月8日]
カテゴリ 27歳【2012-】

1945年のベルリン、12歳のエンネは英米軍の空襲に日夜脅かされる日々を送っていた。ヘレの娘が主役の転換期三部作の最終作。

空襲が終わると、進攻して来たソ連軍との市街戦が始まった。運よく建物が残った37番地は立てこもったナチスのせいでなかなか地下防空壕から出られず10日も満足にものを食べていない。それでも脱走してきたハインツおじさん(ムルケル)や戦争が終われば強制収容所に入れられた会った記憶のないお父さんにも会えるかも知れない、人々はソ連兵の残虐行為に怯えながらも終わること、解放されることに期待している。ナチの同調者だったザウアーやちびのルツ、マルタのような人々は戦争が終わる頃になると、自分は騙されたから助けてくれとこびへつらうようになる。

エンネは生まれてからずっとヒトラーの時代に生き、それが崩され去ろうとしている今、自分の人生が嘘で塗り固めたものであることが徐々に分かってくる。父母は祖父母で、本当の両親が共産主義活動でナチに不当逮捕され強制収容所に入れられ、母は死に、父も生死が分からないこと。大好きなミーツェおばさんがユダヤ人だったこと、ハンス叔父さんがなぜ亡くなったか、祖父母にマルタという娘がいたこと、色々なことを見てきた彼女はきちんと知ろうとする年齢だ。学校で教わってきたことも嘘だということが分かってくる。

父ヘレが帰ってきて、かつてのルディのように変わり果てた姿にエンネは戸惑い、なかなか打ち解けられないし、そのことに罪悪感を感じて居心地が悪い。最終章はそんな二人が徐々に絆を深めていく様子や、ハイナーが語るロシアでの理想への絶望、ミーツェとヘレの恋愛など戦争は一旦は終わったような気もするけど、スターリンの脅威が迫っている。

理想は費えたかのように思えるのに、へこたれないヘレの楽観主義に人はそんなに強くいられるんだろうかと一巻の最後で彼に感じた希望が繰り返し示されることに少し怖く感じた。その後の彼の変遷の記述を見ればそれは徒労なんだけど、人々との間に出来た溝や穴が多すぎて彼のまぶしさは本当に人々を幸せにするものだろうかとなぜだかぞっとしてしまったのだ。

ずっとこの少数派の一家の歴史を見てきたけれど、やっぱりハンスが亡くなった事がすごく切なくやりきれないと共に、彼の生き方を誇らしくも感じた。それはたぶんこういう事態に陥ったとき、一番自分がこうありたいという理想に彼が適っているからかもしれない。それに二巻で主人公だった、一巻のあのハンス坊やが、と思うとつらい。
後のことはあれだけれども、大好きな登場人物ハイナーが生きていたことも嬉しい。シェンクばあさんのことは切ないけれど。

架空の少数派の一家だけれど、彼らを通してイマイチ見えてこなかった戦前のワイマール共和国やナチの台頭前後、ソ連軍の略奪以外の政治的な戦後など学ぶところが多かった。そしてドイツと自国の重なる状況、違いも。
ヒトラーへの抵抗で共産主義者が評価されないことについて、もっと共産主義について知りたいと思った。ロシアの恐ろしい側面や日本赤軍、一方で共産党の理想的な選挙文句(ただし最終目標は革命)という少ない情報でもやっとした終わったイメージが形作られてしまっている。学園紛争後に青春を迎えた父母たち世代の否定的な視線もあるのかもしれない。でも歴史を少しでも自分の考えで正しく理解したいという欲求がこの本によってまた頭をもたげた。

あとがきでゲーリングの言葉を引用している。
「民主主義で自分達の代表を選んだアメリカでは宣戦布告できるのは議会だけだ」と言う心理学者に対して、
ゲーリングは「国民に参政権があろうが無かろうが指導者の命令に従わせることは簡単だ。攻撃されたと国民に伝え、平和主義者を愛国心の欠如で非難し、彼らが国を危うくしていると主張...

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2012年4月10日

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読書状況 読み終わった [2012年4月10日]
カテゴリ 26歳【2011-】

あれから約14年、ハンス坊やもあと三ヶ月で15歳、今では体操選手であり運よく工場に勤め始めたばかり。彼が今作の主人公。
時代はナチスが台頭してきた1933年前後。

ヘレはユッタと結婚し、失業中だけど娘エンネが生まれた。父はずいぶん変容してしまった共産党から離脱したが、ヘレと母は残った。一緒に屋根裏に住む姉のマルタはナチ突撃隊に入ったギュンターと付き合っていて、いい暮らしの為に手段を選ぶことを辞め、家族と仲たがい。ハンスはナチが嫌いだけど、共産党の青年団にはなんか入りたくない、おとなしい賢い少年だった。

政治的な立場でいがみ合う人々。乱暴でユダヤ人を排斥しようとしていて、他の思想を認めないドイツ民族史上主義、すべての建て直しを約束するナチを阻止したいけれど、社会民主党と共産党は1919の革命から仲たがいしたまま。ロシアの同胞の共産主義革命はお世辞にもうまく言ってるとはいえない。すさまじいインフレ、失業者の増大、子供の死亡率の高さ、スト、ヴェルサイユ条約...戦争の頃ほど飢えてはいないけど、治安は悪化し、アパートからは日々追い出される人がいて、かつてのような人の絆は薄くなり、対立が激化して人心がすさんでいるように思える社会状況。

ハンスのガールフレンドのミーツェはユダヤ系で、ちびのルツはナチになってしまった。

この時代のドイツについて、水木しげるの劇画ヒットラーなんかでナチス目線で多少は読んだことはあれど、なぜドイツ民衆が熱狂するのか、多数派になるまでどう思われていたのか、政治的立場というのが人間関係においてどれほど重きを成すのかが伝わってくる本だった。
民族のコンプレックスを肯定したこと、ユダヤ人はみんな資産家で戦争の蜜を吸ったという宣伝と実際ヒットラーがユダヤ人に何かするとは思われてなかったこと、突撃隊がどんなに乱暴なことをしても人々の政治や社会への不信感、それを壊したいという思いをナチスは巧みに取り込んでいったんだろうなと感じた。誇大な宣伝と嘘で票を集める様は今の日本の政治状況と少し重なる。

1919の後のエデの人生が一家よりもさらに悲惨で哀しい。近所のじいさんやばあさんは死んでしまったし。でも相変わらず、時代をあきらめていない一家の様子や少年ハンスの状況判断力や勇気が良いなと思う。
マルタは自分勝手だと男達は言うけれど、個人の幸せを追求するのを悪のように言うのは納得行かない。どんな意見を持つ事も許されるのが民主主義だと思うから。
どうしてお洒落したい盛りに国の状況ですべてを台無しにされなきゃいけないのか、茨木のり子のわたしが一番きれいだったとき という詩を思い出した。
それでナチにつくのは愚かだけれど、彼女の人生を考えればそういう抵抗があってもおかしくない。最悪の選択肢しかなかったのだろう。

うさぎの頭のスープってどんなのだろう?ちょっと気になる。

2012年4月8日

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読書状況 読み終わった [2012年4月9日]
カテゴリ 26歳【2011-】

真面目な黒人郵便局員の男がある日切手を買いに来たドイツ人を撃ち殺した。彼の物置から失われたフィレンチェの橋の国宝級の首像が見つかる。
それは第二次世界大戦中、イタリア、スリーピング山麓の小さな村で起きたアメリカ黒人部隊4人とパルチザンの内輪揉め、ドイツ軍入り乱れての出来事に起因していた。
セントアンナの少年アンジェロは裏切ったパルチザンのせいで村人がドイツ軍に教会前で皆殺しにあう中、一人のドイツ兵に助けられる。ある小屋で爆発に巻き込まれたところを決死に川を渡ったアメリカ兵の"チョコレイトマン"に助けられ、お互いに懐き、他の3人の兵士と共にイタリア人の村に滞在するが、白人上官の差別的でおかしな命令に振り回され、そこにあのパルチザンや捕虜となったドイツ兵も来て、裏切り者のせいでほとんどが死んでしまう...。

差別されながら戦う戦時中の黒人兵の境遇と白人上官、酷いナチスと少年を逃がした逃走兵、ファシストやパルチザンと裏切り者、どの国の国民も必死に同じ神に祈りを捧げる姿、アメリカ戦争映画にありがちな白人のヒーロー目線の映画とは違い、敵も味方もそれぞれの人間が描かれていて切ない。

東京ローズ的なお姉さんが素敵だった。イタリア人の村で初めて差別されないことに喜びを見出す黒人兵、首像の奇跡を信じ、少年を守り抜こうとするちょっととろい太っちょのトレインがかわいい。彼と少年の出会いがキュート。黒人の彼を見て、チョコレートマン?と言ってほっぺをなめるのとか、チョコおじさんと呼ぶのが良い。生き残ってしまった苦しみが静かに伝わってくる凄惨だけど、胸をつく良い映画だった。

2012年2月6日

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読書状況 観終わった [2012年2月6日]
カテゴリ 26歳【2011-】

未亡人になったヘンダーソン夫人は色々な趣味を試した結果、劇場を買うことにする。支配人に強気なユダヤ系のヴァンダム氏を雇い、喧嘩しながらも楽しくうかれ、一度は成功するものの、他の劇場に真似され客足は低迷。
夫人はかねてからやってみたかったイギリス初のヌード・レヴューを提案し、動かないという約束で許可を取り付け、空襲下でも人々に夢を与えるため上演し続ける。
しかし、スターのモーリーンが夫人の勧めで付き合った兵隊に彼女を妊娠させられた上、戦争が終わったら恋人の下に戻ると言って来て、混乱した彼女は空襲に巻き込まれ命を落とす。ヴァンダム氏に君は現実を分かっていないと言われるが...彼女には女性の裸も見ずに戦争で命を落とした息子がいた。

華やかな歌と衣装のミュージカル舞台と激しくなって行く戦争の対比、富豪夫人のおちゃめなわがままっぷり、彼女の想いが素敵なじんわりくる映画だった。

2011年12月20日

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読書状況 観終わった [2011年12月20日]
カテゴリ 26歳【2011-】
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