なぜ、脱成長なのか: 分断・格差・気候変動を乗り越える

制作 : 斎藤幸平 
  • NHK出版 (2021年4月28日発売)
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感想 : 24
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「脱成長」、英語ではdegrowthと言う。
私のような左翼を自任している人間でも、資本主義のなかで生まれ、その価値観に深く影響されていることがあるのだろう。まさしくマルクスが言ったように「存在が意識を規定」している。私自身も、経済成長をストップしたり、減速させようという意見を聞くと、抵抗を感じる。しかし、なんでも疑問を突き付け、「正しさ」の上にあぐらをかいている価値観に揺さぶりをかけるのは、ともかくも「良い」ことだ。
著者たちは次のように主張する。経済成長を重視する資本主義経済は惑星地球の限界に到達しつつある。化石燃料はいずれ枯渇する。原子力発電もウランなどの特殊な鉱物資源に依存しており有限である。発展途上にある国々の人々がこのまま先進国同様の生活水準を達成すれば資源の枯渇は必然的になる。地球温暖化によって地球環境も変わってきつつある。経済成長は、格差を縮小するのではなく拡大してきた。こうした問題を引き起こしているのは、GDPという指標の絶えざる増大(経済成長)を目指す画一的価値観そのものである。私たちは危機を回避するために、脱成長の価値観に転換せねばならない。
斎藤幸平さんが解説を書いているように、『人新世の『資本論』』と類似の主張であり、同書を読んでいる人にとっては、目新しさはないだろう。
薄い本であり、すぐ読み終わる。読んでいるあいだはなるほどと思いつつ読んだが、残るものが少なかったのも事実(これも自分が知らず知らずのうちに資本主義に毒されているからかもしれない)。
「脱成長」、これが今後大きな運動になるかは未知数だ。とりあえずこのキーワードは覚えておいて損はないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会運動
感想投稿日 : 2022年10月8日
読了日 : 2022年10月8日
本棚登録日 : 2022年10月8日

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