馬場添さん、口が回る回る。
最初はその毒舌がきつくて正直貝谷くんと一緒にげんなりしていたのだが、段々慣れてくる不思議。
ああも開き直られると清々しさまで感じる。
開き直っているというか、確固たる自分、揺るがない自分を持っているからこそ、他人に何を言われても動じないというか。
寧ろ倍返しどころか何十倍何百倍にして返してくる始末。
馬場添さんの敵になる人たちが、あまり口論で反撃してこないこと、最終的にみんな言いくるめられていることに若干の違和感を覚えないではなかったが、冷静になって考えてみると、迫力に押されて何も言えなくなるのかもしれないと思い至った。
何しろ同じ弁護士さんすら勝てなかった。
すげえ。
それでいて、必ず勝つという訳でもなく、できないことはできないと見切りつけるのも優秀なところだなと思った。
まあ勝てるように動いている訳だが、彼女の場合は。
その裏で実際は凄く動き回って努力もしているのだが。
そして口は悪いけど、面倒見はいいんだよな。
だからどれだけ叩かれても後輩くんはちゃんと彼女についていっている。
ただの毒舌だけが売りのキャラなら、こうもいくまい。
強いだけではないのだ。
そう、一見無敵の彼女だが、コンプレックスも弱みもある訳で。
ここで貝谷くんの職業が活きる。
ブスと言われる彼女の相方(恐らく互いに不服だろうが、この物語においては相方)が真逆の美容師なのはありがちではあるのかもしれないが、次々事件を持ち込む立ち位置としては美容師は適任かと言われると違う気もする。
彼が美容師である必要性があったのは、最後の場面にあったと思う。
ここで初めて貝谷くんが馬場添さんの上に立つ。
この逆転が見事だった。
馬場添さんの意外な一面も見られるのも嬉しい。
冒頭の険悪なシーンからよくここまで辿り着いたなと、感動すらあった。
癖の強い作品なので好き嫌いがどうしても割れる話だと思うが、ただ毒舌だけを垂れ流す作品ではないので、他の魅力も掬い上げて読んでほしいなと。
- 感想投稿日 : 2021年1月24日
- 読了日 : 2021年1月20日
- 本棚登録日 : 2021年1月20日
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