和国の楊貴妃 転生の狐姫、後宮の邪を祓う (富士見L文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年2月15日発売)
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本棚登録 : 67
感想 : 6
3

楊貴妃や玉藻前と言えば、数々の伝説のある存在で、才女のイメージがある。
傾国の美女の代表格というか。
ただ、この作品に出てくる玉藻前は、前世が楊貴妃と言いつつも、はっきり言ってしまえばおバカさんであった。
とても国を傾けるような才女には見えなかった。
本当に前世は楊貴妃か?
気を抜けばすぐに農園の主になりたいと宣う野菜・農家愛好家。
後宮に入ったのも、農園のための人脈作りのため。
全然成功していなかったけど。
前世は操られていたという設定だが、にしても、こちらがイメージする楊貴妃の面影は全然ないのだが。
これは、前世の方の脳内も心配である。

思っていたよりはコメディよりのライトノベルという感じだった。
安倍泰成との投げ合ってばかりで一切キャッチしない会話はもどかしくも楽しくはあったが。
彼女についている狐も、口の悪いヤンキーだし。
貴重なツッコミ枠で、そこはありがたかった。
何しろ、玉藻の会話がおバカ感丸出しなので。
君がツッコミ入れてくれないと、しんどい。

後宮のあやかしが関与した事件は結構死人も出ていて容赦ない展開だったが、上記のとおり主人公が農園のことしか考えていないおバカさんキャラなので、シリアスになりきらない。
前世からのことも、顔がいいとか、泰成の厄介な体質に彼女だけが付き合えるとか、ある程度メリット?はあるにしても、活かしきれておらず、これ普通の農家の子が成り上がって後宮に入っても通じた話の気もする。
要は、こちらがイメージする楊貴妃や玉藻前の設定と、主人公のイメージがかけ離れすぎていて、そのギャップに戸惑った作品だった。
最初は、玉藻前がそのキレッキレの頭であやかしの事件を解決するのかと思いきや、全然違ったから余計に。
頭脳戦でも美人の顔でどうにかする話でもない、何か不思議な物語だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(作者名:た行)
感想投稿日 : 2021年3月7日
読了日 : 2021年3月1日
本棚登録日 : 2021年3月1日

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