徹頭徹尾、自分の好みの話で悶えつつ読み終えました。
19世紀末のロンドンのあの美しくも不穏な雰囲気も好き。
実在の絵画を絡めつつ、構図、色彩、解釈込みで細かく「設定」を作り込んでいる作中の贋作も凄い。
その贋作の抱えた闇を暴くのが、頭脳戦だけではなく、日本刀を操る美形による戦闘というのも度肝を抜かれたし。
説得(物理)みたいな。
それも、毎回成功とは限らず「俺強え!」になってないところもよし。
この戦う場所、ネガ・レアリテも怖いけど美しい世界。
その世界そのものも絵画作品を見るかのよう(まあ絵画から現れた世界ではあるから当たり前か)
敵も毎回ビジュアル含めて細かく作り込まれたキャラなので、それも楽しみでした。
そして、何より一番悶えたのは、主役二人そのもの。
記憶を失っているが、戦闘能力は凄まじい美貌の彼。
自分よりも他人を大事にする彼が、巻き込まれた少女(主人公)を守ると言い切った時「あ、もう好きや」(語彙力喪失)ってなって、後はころころ転がり落ちました。
正体を知って驚きましたが、そんな彼が彼女にいろいろな意味で振り回されてるのが可愛くて可愛くて……
彼女は彼女で、直感を信じて、彼のことを最後まで信じて見捨てない聖母のようないい子で……彼女は彼女で出生そのものに闇を抱えてはいるのですが、それを抜きにしてもいい子。
彼女の無条件の信頼に、彼は何度助けられたのか。
とにかく、この二人の関係性が何より自分の心に刺さりました。
たまらないよ。
絵画に限らず、文学作品や美術史などの知識も詰め込まれていて、どれだけ下調べを丁寧にされたんだろうと、そういうところにも驚かされました。
主役二人の友達のような主従のような不思議な信頼関係に悶えつつも、バトルあり、謎解きありのエンターテインメントを楽しめる、最高の作品でした。
上手く言葉にできませんが……とにかく、本当に凄いです。
個人的にかなりオススメです。
適度に伏線や謎を残したままなので、是非続いてほしいなと願いを込めて。
- 感想投稿日 : 2019年5月8日
- 読了日 : 2019年5月8日
- 本棚登録日 : 2019年5月8日
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