鈴子は気付いていなかったが、実章様は最初から愛のない契約結婚にする気はなかったような。
割と当初から好意を隠していないし、恋愛に否定的な文言に関して反応悪かったし。
きっと父親の思惑が成功したところで手離してはくれないだろうなと予想はしていたが、怪力の純情脳筋男と思いきや、なかなかの策士であったか。
ラストの展開には少し驚かされた。
実章様の噂の払拭のため、そして彼の義妹のために奮闘する鈴子は本当にいい子。
例え濡れ衣を着せられ仕事を追われ、実章様の(仮の)妻の立場も追われても、自分のためと言いながらも二人のために動ける彼女の何と尊いことか。
境遇が境遇なので、達観している部分も大きく寄与はしていたと思うが、叔父にしろ、乳姉妹にしろ、周囲にいい人たちがいたことも影響が大きいのだろう。
特に乳姉妹のきりの存在は本当に大きかった。
彼女がいい感じに場を和ませてくれるため(しかも遠慮無くズバズバ言うのがまた小気味良い)重くなりそうな場面でも息抜きができた。
ありがとう、あなたがいてくれて本当によかった。
中宮争いに実章様の父親、左大臣との対決など、ハラハラする場面も、鈴子はちゃんと自分の力で乗り切ろうとして、そんな彼女を実章様は影ながら、でも確実に守っていて。
互いに互いを大切にできている二人が大変羨ましかった。
この二人が今後幸せに、しかもお妾さんなしに一夫一妻を保とうとすると、まだ難題は持ち上がってきそうだが、二人なら乗り越えてくれる筈。
寧ろいい見本として純愛を貫いて欲しい。
そう言えば、出番が少ないながら曲者具合を存分に見せつけた今生帝も侮れないキャラだった。
見た目はボンボンだったのに、恐るべし。
- 感想投稿日 : 2020年5月10日
- 読了日 : 2020年5月10日
- 本棚登録日 : 2020年5月10日
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